今回はアニメ「鬼滅の刃」のオープニングテーマとしても使用されたLiSAの「紅蓮華」について、コード進行を中心とした楽曲分析を行います。
ポップなメロディに対して激しいギターアレンジが映える聴きごたえのある曲ですね。理論面からその魅力を探っていきましょう。
「紅蓮華」の基本事項
まずは「紅蓮華」のおさらいをしておきましょう。
リリース…2019/4/22
作詞…LiSA
作曲…草野華余子
編曲…江口亮
アニメ「鬼滅の刃」オープニングテーマとして
週刊少年ジャンプに連載されている「鬼滅の刃」がアニメ化された際のオープニングテーマとして使用され、これがきっかけで爆発した感じです。
『鬼滅の刃』(きめつのやいば)は大正時代を舞台に、主人公が家族を殺した「鬼」と呼ばれる敵や鬼と化した妹を人間に戻す方法を探すために戦う姿を描く和風剣戟奇譚(wikipedia)
コミックスの累計発行部数が4000万部を超えており、今や国民的マンガの1つとして人気を博しています。
2020年10月16日には映画版も公開される予定ですよね!無限列車編!これも楽しみ。
「紅蓮華」の歌詞はLiSAさん書き下ろしですが、作詞するにあたり、かなり作品に想いを寄せて形にしたようです。主人公竈門炭治郎の想いだったり生き方がめちゃめちゃ伝わります。
アニメをまだ視聴していない方は是非一度ご覧になってください。歌がより一層入り込んできますよ!
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個人的には原作マンガも好きなんですよ。大人買いで極上の時間に浸ってみるのもイイ…。
カバー曲
そして「紅蓮華」は名曲であることから、多くのカバーも行われています。今回はその中でも特におすすめしたい2つをご紹介します。
1曲目はポルノグラフティの岡野さんです。アコースティックギター一本での演奏は心に染み入ります。
2曲目は今やYouTuberの宮迫さん
「紅蓮華」の楽曲分析
それでは、前置きが長くなりましたがさっそく紅蓮華の分析してみたいと思います。
コード進行はこちらのサイトを参照してください。
キー
この曲のオリジナルキーはGですので、Gメジャーダイアトニックコードを中心に構成されています。
主に使用する音を鍵盤で示すと以下のとおりです。
曲冒頭(Bメロ)
この曲はAメロ→Bメロ→サビ…といった一般的な曲構成になっておらず、Bメロから始まる構成となっています。
まずはBメロのコード進行をみてみましょう。
1小節目から3小節目は4→5→6と1度ずつ上がっている進行になっています。これはそのまま「456進行」といわれ、割と王道なので有名曲にも用いられています。
キーがGメジャーなのでG(トニック)から数えて
C→4番目
D→5番目
E→6番目
なので456進行。
またコードの機能面では
C→サブドミナント(SD)
D→ドミナント(D)
E→トニックであるGの代理コードなのでトニックとして機能
代理コードに関してはこちらの記事を参考にしてください。
実は王道的と言いつつも456進行の6番目はトニックの代理コードとなっていることで「偽終止」という形式になっているんです。
本当に王道的な進行にするのであればⅣ→Ⅴ→Ⅰ(コードで表すとC→D→G)と進行することできちんと曲を終わらせることができます。このドミナントからトニックに流れることで「全終止」という終わった感を演出することができます。ただしBメロでは終わった感を出したいわけではありません。
偽終止とはその名のとおり、完璧な終止感を感じずどこか不安定さがあります。それがある種の期待感を感じさせるので、曲の出だしにはピッタリなんです。
特にBメロの歌詞「強く なれる ”理由を知った~”」の部分で、「何か知ったのか?」という部分に期待を抱かせるのに、この進行が一役買っているといえます。
イントロ
Bメロの後に来るのが本来のイントロともいえるパートですが、BメロとAメロをつなぐブリッジ的な役割ともいえますね。
このパートはギターのパワーコードでEmとDを繰り返しているものです。しかしただ繰り返しているだけでなく、「ダーダーダーダーダシャカシャカ」(すいません分かりにくい擬音で汗)の”シャカシャカ”部分がアクセントになって気持ちいいですよね。
これはギターのブリッジミュートを利用して音程感のない効果音的なものを狙ってアレンジされていると思います。
ピアノとかでアレンジする場合は、EmとDをそのままトライアドコードで弾かず、3度を抜くなどして弾いてあげると雰囲気でると思います。
Aメロ
さあようやくAメロですが、聴いた感じ冒頭のBメロよりも若干もの哀しくないですか?実はここで平行調への転調が行われているのです。
Gメジャーキーに対する平行調はEmですので、Emに転調しているといえます。
並行調ですので、起点となる音が違うだけで使う音はまったく同じです。
こういうことですね↓
Aメロのコード進行はこちらです。
Emからはじまることで、モノ哀しいマイナー感を醸し出しています。そしてそれだけではなく、このパートでは「順次進行の下降形」というコード進行が使われています。
Em(Ⅰ)→D(Ⅶ)→C(Ⅵ)と書くと分かりにくいかもしれませんが、鍵盤(上の鍵盤図をみてください)で見ていくとポジションが一つずつ下降していくのが分かると思います。
順次進行の下降形はバラードに使うとバッチリハマる進行ですが、「紅蓮華」のようなミディアムテンポの曲に使うことで多少爽やかさも加味されるような気がします。
再びBメロ
さてここで冒頭に登場したBメロが再び登場します。
しかもAメロは16ビートのドラムにノッた軽快なパートであることに対し、Bメロでは冒頭と同様にピアノのみであるため、かなり緩急を使った構成といえます。
このBメロは”緩”の部分にあたりますが、これは完全にサビへの期待感を煽る繋ぎです。いわゆるブリッジというものになります。
その期待感が最高潮に達するのが、ドラムの4つ打ちが2小節続いた後、8分音符の連打からブレイクに入る部分です。
その箇所を聴いてみましょう。
緩急や思わずハッとさせられる”ブレイク”など、聴いている人を飽きさせない工夫というものの大事さを改めて感じさせられます。
サビ
サビのコード進行は基本的にBメロと同じです。同じコード進行なのに雰囲気がグッと変わるのはリズムとアレンジの妙ですね。
あとポイントは3小節目のディミニッシュコードです。
C→D#dim→Emのようにコードとコードの間に経過的に入るディミニッシュコードを「パッシング・ディミニッシュ」といいます。
D#dimの場合は、Dの構成音のうちルートであるD音を半音上げただけのものですが、この半音で動く進行が、全音で動く進行にはない”切なさ”を感じさせます。
半音で動くといえば、似たようなものに「クリシェ」という手法があります。こちらはルートがそのままで構成音の一部が変化していくものです。
例えば、C→CM7→C7といった感じで構成音の一部が変化していきます。
まとめ (やっぱり名曲だな)
紅蓮華を楽曲分析をいくつかのポイントに絞って分析してみました。
ポイントをまとめます。
- Bメロ→イントロ→Aメロ→Bメロ→サビというめずらしい曲構成になっている
- Bメロは「456進行」という王道的だが、「偽終止」の効果により期待感を抱かせるコード進行を用いている
- GメジャーとEマイナーという平行調による転調を繰り返している
- Aメロは「順次進行の下降」というコード進行が使われており、穏やかな雰囲気を醸し出している
- サビのコード進行はBメロと同じだが、パッシング・ディミニッシュを入れ込むことで曲にアクセントをつけている。
- アレンジ面では特に、AメロとBメロのリズム面での緩急により、盛り上がるをサビに持っていく効果を最大限にはかっている。
コード進行自体は比較的シンプルなものですが、リズムの緩急、アレンジにより曲の世界観に広がりが感じられます。そしてなによりLiSAさんのボーカルですね。
聴いていて気持ちいい名曲!映画館という大きなスクリーンで聴けたらいいですね!
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