こういった疑問にお答えします。
ピアノの初見演奏が出来ると、演奏の楽しみが格段にアップします!なんといっても新しい曲を弾くのにストレスを感じませんから。
- 初見演奏の苦手意識をなくしたい
- 初見演奏の練習方法を知りたい
目次
初見演奏とは

初見演奏とは、初めて目にする楽譜をもとに演奏することです。
プロのピアニストはもちろん、幼少期からピアノを習っているような人は難なくできることが多いですが、これを苦手としている人が多いのも事実です。
初見演奏ができないと曲を演奏するのに苦労します。こんなサイクルを経験したことないですか?
- 弾きたい曲があって一生懸命楽譜を読んでみる
- 苦労しながら繰り返し弾いていたら覚えた
- 楽しく弾く
- しばらく弾かないでいたら忘れた(弾けなくなった)
- ①に戻る(~以下繰り返し)
スムーズに読めないので、一生懸命繰り返し楽譜を読んで練習しているうちに弾けるようにはなりますが、これは曲を指で覚えてしまっている状態なので、しばらく弾かないでいると忘れてしまいます。
この辺の課題をクリアするには、ある程度の初見力を身に着けるのが近道のようです。
では初見演奏ができるようになるには、どういう練習をすればいいのでしょうか?楽譜を読む能力(読譜力)を高めればいいように思いますが、そう単純なことでもありません。
ということで、次の項目から「初見演奏を行うためのポイント」とそのポイントを鍛えるための「練習方法」について詳しく解説します。
初見力を高めるポイント

初見演奏にはうまく行うためのコツのようなものがあります。まずはそれを把握しましょう。
- 弾く前に楽譜のポイントを確認する
- 常に楽譜の先を読む
この2つについて詳しく解説します。
①弾く前に楽譜のポイントを確認する
ピアノの初見演奏に関する実験
ピアノの初見演奏についてある実験が行われました。その実験とはウォルフという研究者が行ったもので内容はこうです。
初見演奏が得意な人と不得意な人に対して同じ楽譜を示し「初見演奏してください」と指示。このときそれ以外の細かい条件を伝えず、自由に弾いてもらう
- 初見演奏が不得意な人
ほとんどの人がいきなり弾き始め、途中でつっかえた人が多かった。 - 初見演奏が得意な人
まずじっくり楽譜を見てから演奏を始める。演奏の途中で止まらず、つっかえることもなかった。
この実験から分かることは、初見演奏をこなすためには、譜面の分析力が必要ということです。
楽譜の分析とは
楽譜の分析力とは次のようなことを楽譜から把握することです。
- 調整(キー)
- 拍子
- 同じフレーズが出てくるかどうか
- 出てくる場合はその箇所
- 音域はどのくらいか
- 運指の難しそうな場所はあるか
- 臨時記号の量とだいたいの位置
- 強弱の幅と特別な記号の有無
これらを把握しないまま弾き始めることで、焦ってミスしたり、つっかえたり…という要因になるのです。
初見で演奏する場合は、まず楽譜を1~2分(長い曲で5分程度)見て上記のポイントを確認しておきましょう。そうすることで、曲全体の流れをある程度把握でき安心して取り組むことができると思います。
初見演奏するときは、冷静に進められる精神状態が大事です。
②常に楽譜の先を読む
初見演奏への苦手意識として大きいのが、途中でつっかえてしまうということだと思います。これは今見ている楽譜の場所を同時に弾こうとしていることで起こりやすくなります。
原因は考えてみればすぐ分かりますね。今見ている音符が一瞬でも?(ハテナ)となってしまうとリカバリーのしようがありませんから。
そこで初見演奏時の重要なポイントといえるのが、楽譜は常に今弾いている場所よりも少し先を見るということです。

こうすることで、常にある程度の余裕を持つことができ、冷静でいられるのでより安定した演奏につながるのです。
「情報を先取り」するという点で①②は共通しています。つまり初見演奏のポイントをまとめると次のようになります。
初見演奏は、楽譜から情報を事前にまたは演奏中に”いかに先取りして把握”し鍵盤に反映させるかががカギ
具体的な練習方法

「楽譜の情報を先取り」するといっても、それを実行することがそもそも難しい。
そればっかりは練習で身に着けるしかありませんが、効果的な練習方法というものがありますので、今度は4つの練習方法を深堀して解説します。
次の4つですね。一つずついきましょう!
- 簡単な曲を弾く
- 目をつぶって弾く
- 動体視力を鍛える
- ピアノマーベルを利用する
①簡単な曲を弾く
普段やっているピアノの曲練習って、現状のレベルから少し上のものを選ぶことが多いと思います。そうやってステップアップしていくのが割とスタンダードだったりするからです。
では上記で説明した2つのポイントを難易度高めの曲で実践しようとした場合どうなるでしょうか?
音符を先取りしようにも当然スムーズにいきませんし、なかなか成果が感じられないばかりか、ストレスが溜まってよけいイヤになるかもしれません。
そこで初見練習の対象は、ものすごく簡単な曲からスタートしてください。
それこそ子ども用の曲集や童謡の楽譜を使って、それをゆっくりしたテンポから始めるのです。
簡単な曲であれば、音符を読んで弾く、弾きながらも目線は更に先の音符…という動作を自然に行うことが出来るので、初見を実感しながらレベルアップしていくことが出来ます。
②目をつぶって弾く
初見を行うポイントは常に今弾いている箇所より先の音符を読んでいくことです。ということは視線は常に楽譜を見ている必要があります。そうしないと音が追いついてしまいますからね。
これを実現するには、鍵盤を見ないで弾けることが前提です。
楽譜と鍵盤の両方を見ないと弾けない場合は、頻繁に目線を切り替えるため、譜読みにロスが生まれ、それが途中で止まってしまう原因になります。
これを解消するには①の練習を繰り返し行い、鍵盤の感覚をつかんでいくことです。ただし鍵盤を見ながら弾くのが染みついている人はついつい無意識に見てしまうと思います。
そこで具体的な練習方法として、自分が過去に弾いた曲などを目をつぶって弾いてみましょう。(夜であれば部屋の電気を消す…でもいいです。)
これを行うことで「鍵盤を見ずに弾く」という環境が担保され、確実にブラインドタッチのような弾き方を繰り返すことができます。
この練習のポイントはこちら
- ゆっくりのテンポから始める
- ミスタッチしても止まらない、鍵盤を見ない
ゆっくりのテンポは①の練習と同じです。ミスタッチは気になりますが、目で正しい場所を確認するのではなく、それも音と手の感覚で確認しましょう。
これを毎日のウォーニングアップなどで繰り返せば、鍵盤を見ないで弾くことにだいぶ慣れてくると思います。
③動体視力を鍛える
何度も繰り返しているように、演奏中の目線は常に流れていく楽譜を追っていく必要があります。つまり動体視力がよければ、楽譜からの情報取得が楽になってくるのです。
動体視力を鍛える方法としてピアニストの藤代のりこさんが提唱されているのが、道路を行き交う車のナンバーを次々と読み取っていくというものです。
散歩に出た際などに気軽にできますし、ただナンバーを読むだけでなく、今読んだものを覚えておきながら次のナンバーの読む…ということをすれば初見の動きにも応用できますし、きっと脳トレにもなるでしょう。
④ピアノマーベルを利用する
以前このブログでも紹介したピアノ練習用アプリ「ピアノマーベル」には初見用のトレーニング「SASR」が用意されています。
このトレーニングは非常に強力です!

SASRには初見が上達するようなトレーニングの仕組みが万遍なく整っています。
- かなり難易度の低い楽譜から始まり、徐々にレベルがアップする
- 始めに20秒間楽譜を確認する時間がある
- 譜面はランダムに選ばれる
- 初見力が数値化され客観的に自分の実力を把握できる
- 結果が記録されるのでモチベーションの維持につながる
特に譜面がランダムに変わるのは助かるね。毎日繰り返していると楽譜を指が覚えてしまい初見の練習にならなくなりますが、ピアノマーベルはいくつもの楽譜の中からランダムに選んでくれるので常に初見感覚で取り組めます。
このツールを毎日使うだけでも相当の初見力向上につなげることが可能だと思います。
詳しくはこちらの記事で解説しています。

コード譜の場合の初見
ここまでの解説は”音符が記載された楽譜”を初見で演奏する場合のものです。
コード譜をもとに初見演奏を行うケースもあると思いますが、この場合はまた違ったスキルが求められます。
コード譜(リードシート)ですから基本的にはコードのみが示されています。演奏しながら次のコードを先取りして読んでいく部分は共通していますが、その際次の点も考慮していく必要があります。
- ヴォイシング
- リズム
詳細についてはまた別記事にて解説していきます。
まとめ
ピアニストなら是非身に着けたり初見力について、具体的な練習方法を解説しました。
初見演奏は一朝一夕に身に付くものではなく、地道な日々の練習の結果、”気が付いたら見に着いていた”…といったようなものであると思います。
ただ効率的なやり方というものはありますので、是非今回の記事内容を参考に取り組んでみてください。
あと、あまり修行っぽくやるのもツラいので、初見が出来るようになったらこんな曲やりたい、あんな曲やりたい…といった楽しみをモチベーションに取り組んでみてくださいね。
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