こんにちは、カフェラン(@Cafe21130317)です!
今回はシンセサイザーの数多くある機能の中でも、活用度が特に高い「スプリット」機能について解説したいと思います。
スプリット機能をうまく活用することで、演奏面のクオリティが向上するとともに、特にライブにおける心理面の余裕度が違ってきますので、是非その辺りを意識して活用できるようにしておきましょう!
スプリット機能の概要
まずはスプリット機能の基本的な説明ですが、スプリット機能を一言で表すと以下のとおりとなります。
各鍵盤に別の音色を割り当てて同時に弾けるようにする
【解説】
シンセサイザーには様々な音色がプリセットとして登録されており、通常それらの音色は「音色切り替えボタン」等により替えることができる。
つまりたくさんの音色はあるが、鳴らせる音は現在選択している音のみである。
スプリット機能を使うことによって、鍵盤上に自由に音色を配置し同時に弾くことができるようになる。
文章だけだとちょっと分かりにくい部分もあると思いますので、下記の鍵盤図で補足します。
上記のとおり、鍵盤のここからここまではストリングス音色、ここからはピアノ音色…というふうに鍵盤ごとに自由に音色を割り当てることです。
具体的な設定方法について、各機種の操作説明書(絶対載っています)にご参照ください。
スプリット機能を活用する場面
スプリット機能の概要が分かったところで、次にこの機能はどういった場面で使用すればいいのかについて事例を説明します。
活用場面は大きく次の2点です。
- 異なる音色で異なるフレーズを同時に弾く場面
- 音色切り替えを効率化したい場面
実は上記2点の改善は「複数のキーボードを使用する」という方法でも解決できます。
みなさんもライブやテレビで、要塞のように何台ものキーボードをステージ上に並べるキーボーディストを見たことはないでしょうか?ああいったキーボードセッティングには色々な目的はありますが、音色切り替えをすることなく複数の音色を同時に弾いたり、という目的があります。
日本では小室哲哉さんのキーボードセッティングが有名です。

ただし、何らかの理由により複数の鍵盤を使えない(使わない)場合には、このスプリット機能により対応することになります。
①異なる音色で異なるフレーズを同時に弾く場面
左手はストリング音色でコードを押さえ、右手でピアノのフレーズを弾く必要がある、この場合は左手と右手の動きが異なりますので、スプリット機能を活用する場面です。
冒頭の概要で説明したまさにこの鍵盤図のパターンですね。
ちなみに、ストリングスとピアノ音色を同じフレーズ等(同じコードを押さえる)で弾きたい場合、つまり音を重ねたい場合は「レイヤー機能」を使用します。レイヤー機能についてはまた別記事で詳しく解説します。
②音色切り替えを効率化したい場面
①の場合、複数鍵盤を使用しない以上はスプリット機能を活用せざる得ないケースですが、②の場合通常の音色切り替えでも対応できるため、必ずしもスプリット機能を活用する必要はありません。
ただし、音色切り替えは特にライブなどでは割とリスクのある操作です。
どういうことかについて、理由を列挙します。
- 誤操作
- 音切れ
①誤操作
音色切り替えは、いわゆる”ボタン操作”であるため、押し間違え等の誤操作というものがつきものなのです。
特に音色と音色の切り替え間隔がタイトな場合は、切り替え操作も速やかに行う必要があるためそのリスクは高くなります。
またジャンルや曲にもよるでしょうが、ステージ上はだいたい暗いため、なおさら誤操作を誘発する環境といえるでしょう。
もっとも、そうならないよう使用する音色をあらかじめ使用順に並べておくことで、操作を最小限に抑えることができます。
この場合の操作は音色の順番に対してボタンまたはフットスイッチでUpかDwonで進んでいくだけですので、押し間違えのリスクも軽減されるでしょう。
またKRONOSの「セットリスト機能」のように、音色をディスプレイ上に配置して、タッチして切り替えできるものもあるので、そういった場合も軽減されると思います。

色々な工夫で誤操作リスクを軽減したとしても、0になるわけではありませんので、あらかじめ鍵盤に切り替えるはずの音色を配置しておけば、操作を一つでも無くすことができるため、効果的と考えます。
②音切れ
音色切り替えでもう一つ注意しておくべき点が”音切れ”です。
これは、音色切り替えボタン等を押した瞬間に、前の音色が途切れてしまうことです。「音色を切り替えているんだから、当たり前じゃん」と思いますよね。確かにそのとおりです。
ただ、それまで雰囲気たっぷりにストリングスを奏でていたのに、切り替えた途端にブツ切れでは雰囲気もなにもあったもんじゃありません。
鍵盤が2台あれば、ストリングをしばらく鳴らしながら、別の鍵盤で新しい音色を弾くことで、曲中での音色移行もスムーズに流れます。これと同じように、スプリット機能を使って一時的に両音色を並行させることで、雰囲気を損ねない切り替えができるわけです。
ちなみに、KRONOSなどは音を切り替えた後でも、押さえたままにしている鍵盤の音は持続するようになっています。こういった機構は各メーカーのフラッグシップモデル(上位機種)には搭載されていることが多いですが、エントリーモデル(入門機)にはほぼ搭載されていません。
活用事例
ここでは実際の事例として、私がバンドの中で弾いている曲を例にスプリットのパターンをご紹介します。
以下の曲に登場する音色を鍵盤でスプリット機能を駆使して弾いています。
【曲】FireDance(RAINBOW)
【音色】
①フィルターの効いたシンセ音(イントロ頭)
②シンセリード(イントロ)
③ストリングス(Aメロ)
④鐘(2コーラス目のAメロ途中)
⑤オルガン(ギターソロバッキング)
以上5種類の音色を、88鍵の鍵盤上に配置した図が下図です。

実際の音は次の動画のとおりです。上記5種類の音色順で弾いています。
音色設定のポイント
これまで説明したとおり、基本的には楽曲で使用する音色を鍵盤上に自由に配置していくわけですが、自由とはいえいくつか考慮するポイントがあります。
どちらの手で弾くか
まず一つ目、それはどの音をどちらの手で弾くか…です。
当然鍵盤の右端寄りになると左手で弾くことが難しいですし、その逆もしかりです。
動画の例でいえば、イントロのシンセリード(実はシンセソロも同じ音色を使用)は右手で弾きたいので中央付近に広めにとっています。
ストリングスや効果音的な音は、それほど細かい動きを伴わなわず左手で対応可能なため左側に配置しています。
また、今回の例でいえば、①と②はイントロで同時に弾きますので、そういった意味でも左側、右側という部分を考慮してスプリット配置する必要があります。
ピッチの設定
鍵盤に自由に配置しただけでは演奏できません。
例えば上記例の⑤オルガン。そのまま割り当てただけでは高音すぎて曲には使えません。つまりそのままだと配置した鍵盤の音程がそのまま適用されてしまうのです。
そこで各鍵盤の音程を”トランスポーズ”します。
各音を何音下げれば(上げれば)元のオリジナルの音になるかを把握しながら、音程を変えていく作業が必要です。
スプリット機能の究極形?
最後におまけとして、スプリット機能を活用するための鍵盤として究極形と思われるものをご紹介します。
それは「PianoArc」と呼ばれる円形の292鍵キーボード!!

どうですか、この存在感!
この鍵盤は、レディー・ガガのキーボーディストであるBrockett Parsonsが考案したもので、2015年のエジソンアワード、エンタメ部門で金賞も受賞しています。
動画を見ると、円形の鍵盤に様々な音色を仕込んでいるようです。確かにこれだけの鍵盤があれば仕込み放題ですね。
まとめ
スプリット機能の基本と活用事例をご紹介しました。
スプリット機能はレイヤー機能とともに、シンセサイザーの基本中の基本ではありますが、上手に使うと演奏力の向上にもつながります。
是非自分の持っている機種の同時発音数なども確認しながら、最大限に活用してみましょう!
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