ピアノを連弾しながら歌う姉妹ユニット「Kitri(キトリ)」をご存知でしょうか。
僕は今年のGWに六本木で開催されたJ-WAVE等が主催したフリーライブで、Kitriの音楽を生で聴いてファンになってしまいました!
アーティストが「売れる」為の要素ってたくさんあると思いますが、「同じような存在が他にいない」というのは重要なファクターの一つだと思います。
そういった視点で見るとKitriは他にはいない、大きな個性を持ったアーティストです。
今回は2019年にメジャーデビューしたばかりのKitriの魅力を徹底解剖したいと思います。!
目次
Kitri(キトリ)の基本データベース
名前 | 姉妹 | パート |
Mona(モナ) | 姉 | ボーカル、ピアノ(セコンド) |
Hina(ヒナ) | 妹 | コーラス、ピアノ(プリモ)、ギター、パーカッション等 |
大橋トリオのプロデュースにより2019年1月23日に1stEP「Primo」でメジャーデビューしたばかりの、ピアノ連弾姉妹ユニットです。
姉のMonaが4歳、妹のHinaは6歳からピアノを始めています。
結成のきっかけ
将来、絶対に音楽の道に進みたいと考えていたMonaでしたが、大学時代、クラシックピアノの世界は上には上がいる…と実感します。
その時思い浮かんだのが幼少期から妹とやった連弾、あれだったら自分たちの特徴も生かせるしいいかも、と思い立ち、Hinaに声を掛けます。
Hinaもすぐさま「面白そう!」と快諾したことから、Kitriはスタートしました。
(CINRA.NETでのインタビューより)
Hinaさんも、大きな将来のことなので普通悩みそうな気もするけど、すぐさま応じるあたり、素直さと大胆さを兼ね備えてる!
デビューのキッカケ
結成はしたものの、プロとして活動できない時期が続きますが、ある日、Kitriの音源が大橋トリオの元に渡り、それを聴いた大橋トリオが「これはいい!」となり、デビューにつながります。(詳しい経緯は後述します)
冒頭に触れた六本木でのフリーライブでは、オーガナイザーを務めた大橋トリオのステージに、Monaがピアノで1曲参加しました。その際大橋トリオから受けた紹介が「奥ゆかしい日本女性! 彼女を超える女性はいないと思う」というものです。佇まいや言葉使いから、そのとおりの印象を受けました。ちょっと人間性も垣間見れた瞬間です。
Kitriのこれぞ!個性という部分
これまでにもピアノを音楽の基調とした女性二人組というのは存在していました。
例えば、kiroroや花*花などです。
ただ上記の2グループは、ボーカル+ピアノの2人組だったのに対し、Kitriはまずピアノ「連弾」というのが決定的に違います。
その他にも個性的な要素がたくさんあります。例えば次のような点です。
- 連弾ユニット
- 姉妹でのコーラスワーク
- アレンジにクラシックピアノ要素を取り入れる
- 世界観の確立
- 家族エピソードが秀逸
それでは、一つずつ触れていきます。
① 連弾ユニット
まず日本のメジャーシーンにおいてピアノ連弾で活躍している人はまず思い浮かびません。
男性ピアニストでは「鍵盤男子」というユニットがいますが、思い浮かぶのはそれくらいです。
しかもKitriの場合は歌がメインですので、歌+連弾は専売特許といえるわけです。
なぜ連弾ユニットはそんなに少数なのか。
それはピアノ連弾はコンビネーションが命だからです。
元々ピアニスト、特にクラシックピアニストは個人種目のようなところがあり、基本的にはソロで完結しますし、幼少期から一人で演奏することが多いので考え方もソロ志向になってしまいがちです。
対して連弾を行うピアノデュオは、呼吸を合わせる必要があります。それはつまり「相手を知る」ということが大事になってくるのです。
またテクニカル的にも、シンクロ率を高める、音量のバランスなど、様々なところでコンビネーションが求められるため、二人での綿密な練習が必要になります。
そういったところから、高いレベルが求められるメジャーシーンでの活躍は普通難しくなってくるわけですが、そこは姉妹…綿密な練習が可能です!
姉妹で活動するには、理にかなった演奏スタイルといえるのです。
② 姉妹でのコーラスワーク
曲を聴いていただければ分かるとおり、姉のMonaが主旋律、妹のHinaがハモリによるコーラスを担当していますが、さすが姉妹だけあって声質がとても似ています。
そして歌い方については、熱唱系ではなくクール系です。囁くような力の抜けた歌唱が特徴です。
こうしたクールなハーモニーというのも、なかなか類似のアーティストはいないのではないでしょうか。
それにしても、複雑なフレーズを弾きながらの、ここまでシンクロしたボーカルを披露できることはすごいことです。
③ アレンジにクラシックピアノ要素を取り入れる
メジャーシーンにおいて、ピアノメインで活躍するユニットでクラシックっぽさを前面に出している例もあまり無いでしょう。
例えば女性二人組で例にあげたKiroroや花*花ですが、Kiroroの場合は典型的なポピュラーピアノの伴奏スタイルですし、花*花はジャズピアノを専攻していた人らしくテンションを多用したコードバッキングがメインですね。
Kitriの場合、例えばこの「細胞のダンス」。イントロのフレーズは、流れるような細かいパッセージによるクラシックフレーバー溢れるものです。一方で割とポップにも聴こえるのは左手のリズムが4つ打ちだからでしょう。つまりクラシカルでありつつダンサブル!
このイントロ一つとっても、どう聴かせるかをかなり考えられたものだと思います。
いずれにせよ、幼少期から大学生まで学んできたクラシックピアノを武器として、自分たちのポップソングに生かす…このセンスがいいです。
④ 世界観の確立
動画を見るとわかるように、衣装や表情など、意識的に世界観を作っていることがわかります。
個人的に形容すると「神秘的」といったところでしょうか。
メジャーシーンで活躍することにおいて「音楽が良い」というのはもちろん前提条件ですが、自分たちをどう魅せるか…というのが重要になってきます。
クラシカルな要素を取り入れた音楽に対して、この神秘的な容姿は、とてもマッチしていると感じます。
特に衣装などは自分たちのアイディアなのか、プロデューサーを務める大橋トリオのアイディアなのか分かりませんが、すごく印象に残ります。この世界、印象に残ったもん勝ち…みたいなところがありますからね。
⑤ 家族エピソードが秀逸
Kitriは姉妹なので、姉妹同士のエピソードも色々出てくるんですが、それだけではなくお父さんやお母さんも登場します。
例えばお父さん。Monaが大学4年生のとき、どうしても音楽の道に進みたい希望があり、色々な会社に応募したが引っかからずお父さんに愚痴っていたらしいです。
その話を聞いて動いたのでしょう、お父さんはMonaが作った曲の音源を大橋トリオが所属する事務所の社長に渡したらしいのです。その音源が大橋トリオの手に渡りメジャーデビューにつながったのですから、ある意味お父さんの大手柄です。
ちなみにその音源も、お父さんが所有するMTRで録ったものらしいです。お父さんの音楽好きぶりが伝わりますね。
そしてお母さん。Monaが音大受験の浪人中、本当はめちゃくちゃ練習しないといけない時期に現実逃避で曲を作って歌っていたらしいのです。我に返ったMonaはその音源データをパソコンのごみ箱に捨ててしまいます。
たまたまの曲を発見したお母さんはMonaに電話をします。
母「今聴いたけど、なにあれ?」
Mona(叱られるとおもい泣きながら)「こんなことしている場合じゃないのでごめんなさい」
母「こんなにいい曲作れるなんてすごいやん!」
…なんていいお母さん。
この両親の子どもだから、あんないい子たちに育つんだなぁと思います。
ちなみにごみ箱に捨て、後で復活した曲がこちら!
Kitriのピアノ連弾パート考察
ここでピアノ連弾の基礎的なことについて触れつつ、Kitriのパート分けについて考察したいと思います。
まずピアノ連弾には次のパートがあります。
- プリモ(高音部担当)
- セコンド(低音部担当)
プリモ
メロディを弾くパートなので基本的には主役となります。Kitriでは妹のHinaが担当します。
セコンド
ベースやコードを弾くことで、リズムやテンポをとる役割になります。Kitriでは姉のMonaが担当します。ちなみにペダルを踏む担当もセコンドです。
Kitriのパート分け考察
セコンドは脇役となり支えるのが得意で、かつ手が大きい方が適しています。そういった意味で一般的に姉妹で連弾する場合はお姉さんが担当することが多いです。加えてKitriの場合は歌も同時に歌いますので、メインボーカルのMonaがリズムを弾く方が歌いやすいでしょう。
もう一つ、曲によってHinaはピアノから離れアコースティックギターを弾いたりカホンを叩きますが、その時Monaは鍵盤の低音から中域まで音域を上げて弾きます。つまり終止ピアノを弾き続けるMonaの方が普段セコンドを務める方が何かと都合がいいんですね。
Hinaのカホンの叩き方もおしとやか風味があって、これもまた比類なきって感じでした!
まとめ
Kitriの魅力を個性という観点からピックアップしてみました。
どのような世界でも「自分の居場所を見つける」というのは大事だと思いますが、Kitriは見事にその居場所を見つけているな、と感じています。
Kitriの場合は、実力と世界観の両方が備わった状態でデビューしている稀有な存在でもあると思いますので、今後、この世界観がどう変化して成長していくのか見続けていきたいと思います。とても楽しみです!
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