バンドを始めた初期は仲間と演奏しているだけで楽しいものですが、ある程度の時期を過ぎると、人前で演奏してみたいというメンバーが現れ、ライブやろう!という話になることが多いです。
ライブ出演はバンドの目標設定にもなり得ますから、バンド継続のモチベーション維持にもいいでしょう。
今回は、バンド初心者の方に向け、ライブに臨むマインドから、ライブ出演の手順、コツなどについて説明していきたいと思います。
目次
ライブを行うためのマインドと演奏レベル

趣味バンドとはいえ、人前でお金を頂いてライブをする以上は、それなりの考え方と演奏を仕上げて臨む必要があります。
ここでは、こういう考え方をもっておいた方がいいんじゃないかな?という視点で書いてみます。
マインド(考え方)
基本的には”ライブ”と”発表会”は違うと思っています。
ライブ → 観客に音楽を届ける。楽しんでもらう
発表会 → 自分の練習成果を聴いてもらう
このような図式でしょう。
つまり、ライブはお客さん視点、発表会は自分視点といえます。
楽しんでもらうためには、演奏やステージパフォーマンス、衣装やMCといった部分についてもきちんと考える必要があります(後述)。
そうはいっても趣味でやっている初心者バンドのライブですから、お付き合いで聴きに来てくれたり、応援で来てくれるのが実情でしょう。ただ少なくとも演者としてのマインドはきちんと持っておく必要がある、という話です。
逆に発表会と割り切るのもアリです。
その場合は、チケット事前に手渡ししておくなど、無料で来てもらう方が、余計なプレッシャーもなくてすっきりするかもしれません。
この辺りはメンバーと意識のすり合わせをしておきましょう。
演奏レベル
ライブにしろ発表会にしろ、ある程度の演奏レベルは前提条件です。
”ある程度”とはどのくらいか?…これは正解があってないようなものです。
明確に線引きできるようなものではありませんので、メンバーの総意として、”人に聴かせても恥ずかしくないくらいの音”であればいいと思います。
曲が途中で止まってしまったり、ミスを連発するような状態だと、もっと練習が必要な段階でしょう。
そのうえで特に気を付けておきたいのは次の2点です
- テンポ感の意識
- 難しいフレーズを避ける
①テンポ感の意識
ライブでは必ずといっていいほど、練習時よりテンポが速くなります。いわゆる”ハシる”というやつです。これは緊張からくることが多いです。

ミディアムテンポの曲調だったのに、アップテンポになってしまうとずいぶん印象が異なって聴こえます。また、メンバー間のとっさの対応度にも差が出るので、ぎこちなく聴こえる場合があります。
その他、ライブは時間が決まっているので、計算した時間とずれてくる可能性もあります。
これを防ぐには、最初からそのことを意識しておくことです。ここでのキーポイントはドラムですので、まずはドラムは基本的にテンポを意識することです。
あと曲によっては、イントロがギター始まり、キーボード始まりもあります。イントロの演奏が速いと、違和感を無くすため、後続の演奏も速くする必要があります。
よって結局は、全員が練習した際のテンポ感をしっかり意識し、実践する必要があるのです。
②難しいフレーズを避ける
特にコピー曲を演奏する場合、ソロなどに難しいフレーズが登場する場合があります。それが弾ければかっこいいので、是非ライブで決めたいところです。
ただ難しいがゆえに、成功率が半々だったりする場合があります。割と真実だと思いますが、普段の練習で出来ていないことは、ライブでも基本的に出来ません。
ある程度そのフレーズが自分の中に馴染んでいない場合、ライブで披露するのは避けた方が無難でしょう。ライブでは緊張も相まって、余計ミスする可能性も高いです。
一度失敗するとメンタルがやられ、以降の演奏にも連鎖的に影響する場合があります。余裕をもってライブに望むには、曲を替えるか、そのフレーズを若干アレンジして弾くなどの工夫をしましょう。
ライブに出演する方法

ここではどうやってライブに出演するのかの方法を説明します。
初心者バンドがライブに出演できるケースは主に次の3とおりがあります。
- ブッキングライブ
- イベンター主催ライブ
- 地域のイベント
一つずつ説明します。
①ブッキングライブ
ブッキングライブとは、複数のバンドを集めて開催するライブハウス主催のライブで、様々なコンセプトで行われることが多いです。
出演の流れは、ライブハウスにもよりますが音源審査がある通常ブッキングと、社会人や初心者向けの企画ライブなどに分かれている場合があります。
企画というのは例えば、次のようなものです。
- オリジナル曲のロック
- HM/HRのコピーバンド大会
- 弾き語りオンリー
- オヤジバンド限定
連絡の流れ(アプローチ)
基本的な流れは、ほぼ以下の流れが共通です。
ライブハウスのWEBサイト見る
↓↓↓
企画やスケジュールの確認
↓↓↓
電話で出演希望の連絡
そもそもライブハウスの心当たりがない場合は、インターネットで「〇〇(地域) ライブハウス」等で検索するとたくさんヒットします。そしてスケジュールの埋まり具合をチェックしてみましょう。にぎわっているライブハウスは、それだけバンドから支持されている、と判断することが出来るので、選んで失敗することも少ないと思われます。
持ち時間
これもライブの種類によって異なりますが、多くの場合1ステージ20分~30分となります。これにリハーサルが20分、転換に10分くらいですから、1バンドに1時間ほどが割り当てられることになります。
ノルマ
ブッキングライブの場合は、チケットノルマというものが存在します。
相場は1,500円×20枚=30,000円程度で、幅があったとしてもこの前後と考えていただければ間違いありません。
メンバーが4人いれば一人5枚。つまり5人のお客さんを呼べればペイできます。それ以上の集客があれば、バンドにチャージバックがあります。(これもライブハウスによって100%バックもあれば、50:50でライブハウス側と分け合うケースもあります。)
②イベンター主催ライブ
イベンターライブとは、イベント会社や個人のイベンターが開催するイベントのライブのことです。
主催者が異なるというだけで、基本的にはブッキングライブと大きな違いはありません。
③地域のイベント
地域のイベントやお祭り等に出演できるケースもあります。地域のイベントの掲示や地域紙などに情報がでている場合があります。
またWEBサイトでも情報が掲載されています。
例えばこちらのサイト「ジモティー」には、地域イベントにおけるライブ出演情報が多数掲載されています。
ライブ前の準備と本番

ライブに出演する前にはいくつか決めておく必要があります。
曲数
上述したとおり、一般的な出演時間は20分から30分程度の場合が多いです。曲とMC、オープニングのSEがあればそれらも含みます。
仮に30分とした場合の構成例は次のとおりです。
- SE …2分
- 1曲目 …4分
- 2曲目 …5分
- MC …2分
- 3曲目 …5分
- 4曲目 …4分
- MC …3分
- 5曲目 …5分
上記のような感じだとすれば、5曲~6曲くらいのレパートリーがほしいところです。
衣装
趣味バンドとはいえ、衣装にも多少のこだわりがほしいです。
これについては自分が観客の立場になって考えてみてください。統一感のない普段着姿のバンドをみて、気分盛り上がりますでしょうか?音だけ聴ければ満足ですか?
ライブって少なからず非日常の空間でもありますから、多少は演出したいものです。
とはいえ、お金をかけたすごい衣装を用意する必要はありません。メンバーで統一感を出してみるとか、コピーバンドであればコピー元のアーティストの雰囲気を出してみるとか、ちょっとした工夫で、観る人の気持ちがのってくるものです。
ライブ中の私カフェラン…こんな感じでカツラをかぶるのもアリ。

ゲネプロ
ゲネプロとは、本番を想定した「通し練習」のことです。
これは必ずやっておきましょう。できればライブ前日のスタジオ練習でやれればベストです。(ライブ当日の午前中にやっているバンドも多いですね)
通常のスタジオ練習では主に曲単体の練習や確認を行いますが、ゲネプロではまさに本番と同じ構成で行います。
本番を想定する項目は次のとおりです。
- 曲順
曲順を本番どおりに演奏します。 - 曲のつなぎ
次の曲のための準備関係を最終確認します。ギターであればチューニングの切り替え、エフェクターの切り替えや、鍵盤であれば音色切り替えなど。忘れやすいことは機材にメモ貼っておきましょう。 - MC
本番一発だとうまく言葉がでてこないこともありますので、慣れる意味で本番と同じセリフ練習しておきましょう。決めたうえで多少のアドリブがあればOK。 - 立ち位置
ライブハウスのステージ構成を想定して、普段とは異なる配置で演奏してみましょう。
そしてゲネプロを通しでやった時間を計測し、持ち時間内に収まっているかを確認しましょう。結構ギリギリ、割と時間余るなどの場合は、基本的にはMCなどで微調整します。
ライブ当日の機材セッティング
キーボードの場合はステージ上にあるDI(ダイレクトボックス)のINPUT端子に、シールドを差します。これによりPAのミキサーに接続されます。

このDIは何チャンネルも確保できないことが一般的です。通常は多くても2チャンネルくらいでしょうか。この辺りが不安であれば事前にライブハウスに確認しておくといいでしょう。
例えば、シンセ2台でそれぞれLとRの2チャンネル、計4チャンネル使いたい場合は、できれば手元のミキサーで2チャンネルにまとめて、DI側に渡すようにしましょう。
このような小型のミキサーを自分で準備しておきます。複数シンセ使いには必須といえるでしょう。
ライブ当日のリハーサル
ライブ当日は、各バンド20分程度のリハーサル時間が割り当てられます。
多くの場合、”逆リハーサル”という形で行われます。通称”逆リハ”といいますが、出演順と逆の順番でリハーサルを行っていくことです。
こうすることで、トップバッターが最後にリハを行い、機材セッティングはそのままの状態で本番に入ることができます。
リハでは、パートごとに音のバランスや音量についてPAさんとやり取りしながら進めます。キーボードの場合だと、使用する主な音色を切り替えて、ステージで鳴っている音を確認します。主に音のバランスをチェックします。
各パートが終わると、バンドで演奏します。このとき、曲を丸ごと演奏すると時間が足りないので、イントロとAメロ、違う曲のサビのみ…といった感じで確認します。
各パート感のバランスなどを確認して、違和感があればPAさんにリクエストしましょう。
音が決まったら本番もそのとおりに!
キーボードの場合は手元で音量を変えられるので特に注意しましょう。マスターボリュームは定位置で。
撤収
自分たちの出番が終わったら撤収です。この撤収は次のバンドのセッティング時間でもありますから、速やかに行う必要があります。
ただし、速やかにやるとはいえ、特にキーボードの方は焦ってシールドを抜かないでください。PA側の準備が出来ていないと故障につながることもありますので、必ずPAさんの指示に従うようにしてください。
まとめ
初心者バンド向けにライブ出演の方法と流れについて説明しました。
冒頭ではマインドが大事!!と語ってしまいましたが、確かにそれも大事です。
でも大事なことを言っていませんでした。それは…
当たり前のことかもしれませんが、これを忘れては本末転倒だし、楽しむ気持ちを忘れ、上手くやろう、失敗しないように…ばかり考えては変な緊張をすることになります。
是非、ステージに上がっている自分を想像しながら、楽しめるライブを心がけていきましょう!
Amazonが提供する”Amazon Music Unlimited”は、
6500万曲が聴ける音楽サブスクリプションの中でもトップクラス!
今なら30日無料で聴き放題です。是非この機会に!