何でもそうかもしれませんが、人間のやることにはミスがつきものです。それは楽器演奏も例に漏れません。
極力ミスを無くしたい…これは楽器演奏する人共通の理想形であり、誰だって憧れのプレイヤーのようにカッコよく演奏したいものです。
そこで今回は、これまで幾多の失敗を繰り返してきた私カフェランが、バンド(特にキーボーディスト目線)の中での演奏ミスはどのように発生するのか、そしてどうすればミスを回避できるのかについて考察します。
この記事をご覧いただくことで
- 楽器演奏におけるミスの原因
- ミスを解消する方法
といった部分の疑問を解消する記事になっています。
タイプ別演奏ミスの種類
事象には必ず原因があります。ですからその事象を解決しようと思えば、まず原因を把握していく必要があるわけです。
例えばライブでミスをしたとして、
このように思い、曲を通しで弾く時間を増やしたりします。でもこれだとちょっと足りない。「練習しよう!」という気持ちは大切ですが「なに」を「どうするか」という体系立てた考え方がないと、なかなか効率よく解消できないでしょう。
そこで、まずはミスの原因を特定するうえで、ミス発生にはどのようなタイプがあるのか、大括りで分けて考えたいと思います。
- 次に弾く箇所を忘れる・間違える
- 頻繁にミスタッチする
- 各種機材操作のミス
上記タイプごとに原因と対策をみていきましょう。
①次に弾く箇所を間違える・忘れる

曲のバッキングを弾いていて次の展開がわからなくなるミスです。
- 次のコードがわからなくなり一瞬ストップしてしまった
- 違うコードを弾いてしまった
原因と対策
たまたまド忘れすることはありますが、頻繁に起こす場合はコード進行など曲の構成をきちんと理解していない、といえるでしょう。
ロック系バンドでは通常譜面を見ずに暗譜しますので、よく見受けられるミスです。
次に対策を考えてみましょう。
・意識的に暗譜を行う
ロック系バンドのライブでは通常譜面を使わないため、普段のスタジオ練習でも極力譜面をみないで練習しましょう。
そのためには、何となくの”通し練習”を行うだけでなく、意識的に暗譜に取り組んでみてください。
- 弾かずにイメージトレーニングする
自分で弾くフレーズを頭に中でイメージします。具体的には演奏時の手の動きや音をイメージするのです。これは演奏を指で覚えるのではなく、しっかり流れを頭の中に落とし込むのに有効です。通勤通学や入浴中などスキマ時間を活用しましょう。 - 曲の構造を覚える
曲の構造はある程度規則性がありますので、主な流れはコード進行を丸ごと覚えてしまいましょう。そのうえで、一部変化する箇所があればその部分を自分の中で印象づけておきます。(例えば、同じAメロでも1番と2番ではちょっと変化する部分がある等) - とくかく曲を聴く
演奏する曲をよく聴くことです。音楽の流れの感覚を身に着け、曲のどこからでも弾き始めるできるくらいにします。
・慣れるまでは譜面を見る
上の項目でスタジオ練習では極力譜面を見ないという趣旨で記入しましたが、なかなか覚えきれない場合は、スタジオでも譜面を見ましょう。曲が途切れ途切れになって、メンバーに迷惑かけるよりマシです。
・ごまかすのもテクニック
実は次の展開を一瞬ド忘れすることはプロのプレイヤーでも起こり得ることです。でもTVなどでもあまりそういう場面を目にすることは少ないのではないでしょうか。そう見える対応の一つはごまかすのが上手いというのがあります。
ごまかすためには、その曲で「使っていい音」を把握しておくことです。要するにキーを把握することで、使えるスケールとコードを頭に入れておくのです。
次に弾くコードが出てこない場合は、ダイアトニック内の何らかのコードを弾いて凌ぐのはアリです。構成音が近いものは代理コードといって、元のコードと同じ役割を果たしますのでミスっぽく聴こえません。
②頻繁にミスタッチをする

ピアノやシンセであれば意図せず隣の鍵盤を弾いてしまう、といったミスで、特にテクニカルなフレーズで起きやすいもの。
ミスタッチはある意味永遠のテーマといえ、それだけに原因も多岐に渡っています。
原因と対策
原因としては大きく次の3点に分けることができます。
(1)練習不足
(2)他の要因に誘発されるもの
(3)突発的なもの
(1)練習不足
まずは単純な練習不足です。プロの演奏が完璧に聴こえるのはそれだけ膨大なリハーサル時間を費やしているからであり、その辺りをあまり表に出すプレイヤーはいないかもしれませんが、そこが裏付けになっているわけです。
対策としては、質の高い練習に時間をかける、です。
ポイントは”質の高い”という部分ですが、ではどう練習の質を上げればよいのでしょうか。以下を参考にしてみてください。
- 通し練習ではなく箇所を特定する
やみくもに1曲通しての練習ではなく練習箇所を区切ります。その区切った箇所ごとにテーマを設ければなお良しです。例えばこの部分は指使いをスムーズに、ここは音の強弱を意識…といった具体です。 - テンポを徐々に上げていく
しっかり弾けないうちからインテンポで弾かず、まずは区切った箇所を遅めのテンポで弾きましょう。そのテンポでミスなく弾けるようになったら徐々にテンポを上げていくことを繰り返し、最終的にインテンポで弾けるように仕上げていきます。 - 指使いを見直す
実は無理な指使いをしているケースもあります。「分かっているけど、こっちのほうが弾きやすいから」という個人の手クセもあると思います。もちろん指使いは絶対的なものではありませんが、どこかに無理があると後続のフレーズにしわ寄せがきますので、本当に効率的な指使いになっているか、一度振り返ってみるのはいいと思います。
(2)他の要因に誘発されるもの
”他の要因”とは、例えばライブで体を動かしたり、観客を煽ったりといった演奏とアクションを並行させる場合です。そういう動きをしたばかりにミスってしまった…というのは私自身もよくあります。
確かにライブでのパフォーマンスやアクションは重要です。ライブなのに手元ばかりみて一切動かず弾き通すのは、見ている側もつまらないですからね。
こういったミスを防ぐには、普段からそれを想定した練習をしておくことです。
- 動く場所としっかり弾く場所を切り分ける
ライブならいつでもガンガン動けばいいというものでもありません。メリハリ、緩急が大事です。なので「ここは難しいフレーズだから集中しよう」とか「ここは白玉コードだからちょっと頭振ってみよう」など、演奏箇所によってライブでのアクションも想定しておいてください。
極端にいえば動くことを重視するなら、弾かなくたっていいんですから。 - 手元をなるべく見ない練習
結局なぜミスするかといえば、視線が一時的に鍵盤から離れることが大きな理由です。であればある程度鍵盤を見なくても弾けるよう備えておくことが重要です。これも普段から意識的に練習することで、余裕をもって望むことができます。
(3)突発的なもの
いくら練習して備えていても、突発的に間違えるということはあります。それはあるものと見込んで必要以上にこだわらないのも大事です。
というのも、必要以上にミスにこだわると思考がマイナス面に引っ張られて、それ以降の演奏にも響いてくるからです。特にライブでは「やっちゃった感」を顔に出さずにスルーがいいでしょう。
③各種機材操作のミス

特にキーボーディストの場合は音色切替や各種ツマミ操作、ボリュームにペダルと鍵盤の演奏以外の操作が数多くあります。
機材の操作も演奏に直結するためミスに聴こえますし、機材操作に引っ張られた演奏のミスもあります。
原因と対策
機材の操作のほとんどは小さいボタンやツマミをいじるものです。とても繊細といえば繊細です。これを演奏中にタイミングよく行う必要がありますから、ミスすることも結構あるのです。
ミスしないように機材操作も織り込んだ練習、というのは当然必要です。でもそれ以上に一番有効な対策はなるべく操作しなくてもよい環境を作る、です。
例えば1曲の中に複数の音色を使用する場合は、演奏中頻繁に音色を切り替える必要がありますが、なるべく鍵盤のスプリット機能をつかって鍵盤に複数音色を配置することでボタン操作を無くす…などです。

フットスイッチに色んな機能をアサインし、手は鍵盤演奏に集中させる、というのもいいでしょう。

まとめ
楽器演奏におけるミスは誰もが共感しやすいテーマだと思いますが、ひっかかる部分はありましたでしょうか。
ミスを防止するうえでとにかく前提となるのは、しっかりとした練習量です。
練習量の多い少ないは主観的な部分がありますが、ミスを繰り返す場合は多くの場合練習不足があると思いますので、まずは練習量を増やすのが第一。
それプラス、環境であったり練習の質であったりを同時に取り組んでいけば、ミスをグッと減らすことができ、バンドメンバーからの信頼も向上すると思いますので、是非参考にしてみてください。
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