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スピッツ 極上のおすすめバラード10選

1987年に結成したスピッツは、その30年以上に渡るキャリアの中ですばらしい名曲をたくさん発表してきましたね。

ロビンソンやチェリーといった曲は世代を超えて愛されている、国民的ソングといっても過言ではないと思います。

そんなスピッツですが実はバラード曲も極上です。

カフェラン
カフェラン
実は…というか当然と表現した方がしっくりくるかも

今回はバラード曲にスポットあて、厳選した10曲をご紹介します。

スピッツのファンになって間もない方や、スピッツが気になっている方の参考になれば幸いです。

 

スピッツ バラード曲10選

①君だけを

一言レビュー

1993年発表「Crispy!」に収録された1曲。《歌詞
タイトルや曲調から王道のラブソングと思いきや、歌詞の内容はなかなかに深いです。

「君だけを」と語っていますが、君だけを好き、とか君だけを愛している…ではなく、”君だけを描いている”、なんですよね。

ということは、相手は好きや愛しているの対象以前の存在、どちらかというと主人公の空想ではないでしょうか。それを裏付けるのが、”いつか出会える時まで”という部分。

その前段では”大人になった悲しみを見失いそうで怖い”や”カビ臭い毛布を抱き思いをはせる”といった迷いが感じられます

つまり、この曲は20歳を超えた若者が、現状に対する迷いや葛藤を抱えながらも、理想とする存在をよりどころとして懸命に生きる”青春ソング”なのではないかなと思うのです。

もしくは”君”は別れてしまった君…と解釈してもいいと思います。

アレンジ面ではオーソドックスなアルペジオ中心なので、コピーなどもしやすいでしょうね。

「Crispy!」には他にも『多摩川』という名バラードをはじめ初期のアルバムの中では曲が粒ぞろい好きなアルバムです!

 

②Y

一言レビュー

1995年発表「ハチミツ」に収録された1曲。《歌詞
アルバムの1曲目ですが、バラード曲をここに配置するのも珍しいと感じます。

この曲の歌詞も色々解釈できると思いますが、それよりもストレートに響いてくるのはこの部分です。

悲しいこともある だけど夢は続く
目をふせないで 舞い降りる夜明けまで

その昔落ち込む出来事があり、ふとこの曲を聴いたとき上記のフレーズが飛び込んできて、ちょっと元気になれたことがあります。いい意味で吹っ切れたというか。

明けない夜はないように、どんな出来事にも終わりはくる。いいことも悪いことも。そんな当たり前のことを草野マサムネの歌声を通して聴くことでチカラをもらえたのです。

今でもふと思い出しては聴いている名曲です。

 

③楓

一言レビュー

1998年発表「フェイクファー」に収録された1曲。《歌詞

スピッツのバラード…といえば真っ先に名前があがる曲であり、ピアノイントロから始まる正統派的なバラード、といった感じです。

曲の中身ですが、”さよなら 君の声を抱いて歩いていく”というフレーズが代表するように基本的には別れの曲と解釈できます。なのに実際AメロやBメロには悲しい雰囲気はあまり感じないのではないでしょうか。この曲のキーはAフラットというメジャーキーなので、実際AメロやBメロにモノ悲しさがないのはそういうことです。

ただこれがサビになると哀愁的な感覚が一気に訴えかけてくると思います。

サビで切なさが増しているのはマイナーキーに転調をしているから。サビはFmというマイナーキーに変化しているのです。しかもFmはA♭の平行調であるため、始まりのコードが違うだけで使っているコードの種類は同じなのです。

曲中を通じてほぼ同じコードを使いながらも、歌詞の内容に合わせて平行調による転調で雰囲気をチェンジする…草野さんの上手さが光ります。

タイトルの楓も秋を想起させることで、モノ悲しさをふわっと伝えてくれますね。

 

④コスモス

一言レビュー

1999年発表「花鳥風月」に収録の一曲。《歌詞

「花鳥風月」はシングルのB面や他のアーティストに提供した曲のセルフカバーで構成された企画ものアルバムで、『コスモス』は『日なたの窓に憧れて』のB面として発表されたものです。

イントロ~Aメロはギターのアルペジオとベースに歌がのるだけのシンプルさ。そしてこのシンプルさが、なんともいえない切なさを醸し出す。とくに冒頭4小節目などで登場するBmsus4→Bmのsus4コードはキュンしてしまいます。

そして意味深な歌詞。曲中に登場する

”永遠のさよなら”
”幻にも会えず”
”君の冷たい手を 暖めたあの日から”
”君が生きていたなら”

というワードの数々。大切な人を亡くした主人公の、諦めきれない揺れ動く気持ちが伝わってきます。

そして気になるのが、約束の海まで車で行き、”ひとりで行くクロールの午後”という部分。彼女を追って海に入ったのか…その結果手に入れた浮力とは?きっと色々な解釈ができるのだと思います。

個人的に特に好きなのが間奏。ギターのアルペジオをバックに、オーバーダビングしたボリューム奏法っぽいギター。目をつむって浸ってしまいます



⑤ガーベラ

一言レビュー

『コスモス』に続いて、こちらも花の名前を曲名にしていますね。

『ガーベラ』は2002年発表「三日月ロック」に収録された1曲。《歌詞

このアルバムからプロデューサーに亀田誠治を迎えていますが、その影響は大きいですね。なんというか、バンドサウンドを大切にしながらも、バリエーションが多彩というか、歌詞世界に対してアレンジがしっくりくる感じです。

サウンド面ではイントロから最後まで三輪テツヤのアルペジオを中心に構成されています。この曲も音数が少なくとてもシンプルなんです。

やはりスピッツは草野マサムネの比類なき歌声があるため、こういったシンプルなアレンジが映えるのかもしれません。

歌詞は主語が占められておらず非常に抽象的ですが、”ホシ”や”扉”、”命”というワードに加えて、繰り返される”ハローハローハロー”というフレーズ。

こういった部分から、壮大で神秘的な雰囲気が漂います。これは曲名であるガーベラの花言葉に「神秘」「冒険心」という言葉があることからも伺い知れます。

いろんな解釈が出来そうな曲だけに、何人かで自分なりの解釈を発表し合う…ってのも面白いかもです。

 

⑥自転車

一言レビュー

2005年発表「スーベニア」に収録された1曲《歌詞

レゲエ調のリズムを基調にたんたんと進行する曲ですが、それがまた心地よくて落ち着く感じが好きです。ドラマティックな曲が続いた後は、こういった曲を聴きたくなる。

歌詞の内容を超かんたんにまとめると「別れた彼女の町まで、こっそり自転車で行こうとする話」です。おそらくこの曲の主人公はまだ未練があるんでしょうね。それはこの辺りの歌詞から伺い知れます。

自転車で行きたいな スルリスルリと
君の育った町まで 次の休みには

そして

戻れないことは 百も承知だったよなあ

 

こういう気持ち、男子ならすごく分かると思うのです。別れた彼女との思い出の場所をこっそり訪れてみたりね。

そんな等身大の共感を得られる曲でもあると思います。

「スーベニア」には他にもピアノバラードの『優しくなりたいな』、アコースティックな『会いに行くよ』と甲乙つけがたいバラードが収録されています。

⑦P

一言レビュー

2007年発表「さざなみCD」に収録された1曲《歌詞

リバーブが深くかかったエレピのバッキングによるバラード。こういったアレンジも今まであまりなかったと思います。

この曲に関しては、サビのメロディが秀逸で、すごい好きです。
ドラマティックな雰囲気を感じますが、それはメロディのレンジの広さもあるかもしれません。

サビを構成するメロディは、最低音がF#で最高音はオクターブ上のG#。広い音域を無理なく表現できる草野マサムネならではのメロディラインといえます。

 

⑧砂漠の花

一言レビュー

2007発表「さざなみCD」に収録された1曲。《歌詞
アルバムのラストに収録されたドラマティックな雰囲気が漂う名曲です。

いやーこれも名曲すぎますよ。いまでもよく聴く曲です。

この曲はメロディライン、コード進行、アレンジ、歌詞のすべてが秀逸ですよね。

ずっと遠くまで道が続いている
終わりと思っていた壁も 新しい扉だった

個人的にはこの曲でいいたいことは、この部分に集約されていると思っています。

それでも人生は続いていく…「それでも」の前に入る言葉は人によって違うかもしれませんが、そんなメッセージが込められていると解釈しています。

そしてアレンジ面では、ギターとピアノ。

ギターはなんといっても泣きのギターソロ。三輪テツヤのギタースタイル的に、ここまでエモーショナルなソロはあまりなかったと思います。チョーキングとビブラートが最高。

そしてピアノ。イントロも印象深いですが、オクターブ奏法によるフレーズとギターソロの合いの手で入るオクターブの連打。力強いその弾き方は、「ああ、こういう風に弾いてもいいんだな」と参考にもなるアレンジです。

いやぁいいわ…。



⑨聞かせてよ

一言レビュー

2010年発表「とげまる」に収録された1曲。《歌詞

これも発表当時聴きまくった曲の一つで、まったく飽きない曲です。

歌詞の内容は詳しく理解していませんが、全体から発せられるスケール感、バラード調の曲でありながら、後半は徐々にリズムアップしていくその盛り上がり感が好きなのかもしれません。

本当、この曲のアレンジ力には脱帽です。

 

⑩ランプ

一言レビュー

2013年発表「小さな生き物」に収録された1曲。《歌詞

このアルバムは東日本大震災に大きな影響を受けて制作されたものといわれています。

実際、ボーカルの草野マサムネは震災後のショックで急性ストレス障害となり、一部ツアーの中止などにも見舞われています。(スピッツの草野が震災のショックで急性ストレス障害に……ツアーも見送り

そういった意味ではこの『ランプ』もある種の意味合いが込められているのでしょう。例えば、曲の冒頭。

ただ信じていたんだ 無邪気にランプの下で
人は皆もっと 自由でいられるものだと
傷つけられる 静かに食べる分だけ
耕すだけの生活は 指で消えた

”ランプ”を現代の文明と解釈すると、そういった環境の中で無邪気=自由に暮らしていた生活は消えた…つまり震災により消え去ったと解釈できます。

それでも”歩いていくよ 命が灯っている限り”という前向きな表現を綴ることで、ポジティブなメッセージも発信していると解釈しています。

そしてこの曲のキーボードアレンジはほぼ白玉のオルガンなんですが、そのオルガンがよい味を出していますね。

確かに白玉ばかりだと変化がなく面白みには欠けますが、前に出るところ、引っ込むところを弾き分けているので、メリハリが効いています。そこの弾け分けは弾く・弾かないだったり、ボリュームなりでコントロールしていますね。

またレズリーの回転もここぞということろでファストに切り替えているので、ポップスでのオルガン活用のお手本になると思います。メロディをなぞるオルガンソロもいいですね。

 

まとめ

あくまでカフェラン的なセレクトではありますが、名バラードを厳選してご紹介しました。

バラードに限りませんが、スピッツの楽曲の歌詞世界は独特で、様々な解釈ができるものだと思います。メロディやアレンジは爽やかでも内容はブラック…そんな曲も多々あります。

そのギャップがたまらないし、楽曲について考えてみたくなります。

スピッツを好きになって間もない方は、是非そのあたりも注目して聴いてみると、よりスピッツの世界を楽しめると思います。