こんにちは。へなちょこ鍵盤弾きのカフェラン(@Cafe21130317)です。
今回は、キーボーディストなら弾く機会のとても多いオルガンについて、基礎的な解説としてお届けしたいと思います!
オルガンは有名な鍵盤楽器ですが、どんなことが出来るのか…という部分ではピアノほど知られていない面がありますので、初心者キーボーディストの方にとってはオルガンの特徴を、音楽リスナーの方にとってはオルガンの魅力についてお伝えできればなぁと思います!
目次
オルガンの演奏事例
詳しい説明を始める前に、「オルガン」ってこんな感じっていう雰囲気を感じ取っていただくために、僕が所属しているバンドでの演奏風景をご覧いただければと思います。
モザイク多くてすみません…。
演奏しているのはディープパープルの「Burn」という曲です。
ジャララララーン ジャララララーンラーン…というギターリフは誰でも一度は聴いたことあるのではないでしょうか?
動画のシーンはBurnのオルガンソロ部分です。このソロはディープパープルのキーボーディストであったジョン・ロードの有名なソロのうちの一つであり、オルガンソロの定番中の定番です。
またロック・オルガンの魅力が詰まった一曲でもあり、オルガン好きなら一度は弾いてみたいという曲だと思います。
動画の演奏はシンセサイザーのオルガン音色で弾いたものですが、ちょっとでも「おお~オルガンでこういう感じね」という部分が伝われば幸いです。
オルガンの歴史
まずはオルガンの歴史を紐解いていきましょう。
ここではオルガンの歴史上重要な位置をしめる「パイプ・オルガン」と「ハモンド・オルガン」に絞って説明します。
オルガンの始祖 パイプ・オルガン
オルガンは協会などに設置された「パイプ・オルガン」がその始まりです。
パイプ・オルガンとはこういうものです。
これ全体で一つの楽器ですから、すごい迫力です!
基本的な仕組み
パイプ・オルガンの原理を簡単に説明すると、金色した筒上のものが「フルーパイプ」とよぼれるもので、各音程ごとに1本用意されています。鍵盤を弾くとそのパイプに空気が送られ、笛のように音が鳴る…という仕組みです。
そして、空気を送る仕組みもコントロール可能です。
それがストップと呼ばれるスイッチです。
このボタンでどのパイプに空気を送るかをコントロールすることで、多彩な音色を生み出すことができるのです。
ちなみにパイプ・オルガンの基本的な仕組みですが…実は日本古来の楽器「笙(しょう)」をモデルとしたものなのです。
確かに大きさの規模こそ違え、基本的な構造は共通点ありそうですよね。
日本からシルクロードを渡り、西洋の楽器に影響を与えるって、ちょっと誇らしいものがあります。
パイプ・オルガンの音色・代表曲
そして「パイプ・オルガンといえばコレ!」的な曲がバッハ作曲の「トーカッタとフーガニ短調BWV565」です。これも絶対耳にしたことあるはずです。
ある意味これが「オルガンの音」と認識している人も多くいると思います。そんな印象的な音色は、チャーチオルガン等の名称で多くのシンセサイザーに搭載されています。
有名なオルガニストは日本にもいます。
ハモンド・オルガンの登場
パイプ・オルガンは協会音楽として出発しましたが、クラシックや映画の劇伴などにも活用の幅を広げ、より注目を浴びる楽器となりました。
その一方で問題だったのがその大きさとコストです。
さすがにこれだけ巨大なものを量産化することは難しかったわけです。
そこで当時発達しつつあった電気技術を用いてコンパクトなオルガンを作ろうという動きが生まれて誕生したのが、1954年は発表されたハモンド・オルガンという機種です。
ハモンド・オルガンには機能等の進化に伴い、いくつかのモデルが存在します。
- A型
初期型として登場したモデル - B-2
コーラスとビブラートの回路を搭載したモデル - B-3
パーカッション機能を搭載。一番代表的なモデル - C-3
内部はB-3と同じだが、4本足のB-3に対して、筐体が囲うようになっている。 - A-100
C-3を更にコンパクトにしたモデル。 - Mシリーズ
鍵盤を44鍵にし、ドローバーを簡略化するなどのコストダウンを図ったモデル
モデルの進化とともにハモンド・オルガンが備えてきた機能は、その後のオルガンやシンセサイザーの基本フォーマットとして一般化し、様々な機種に取り入れられてきました。
ハモンド・オルガンの機能には次のようなものがあります。
- 鍵盤
- ドローバー
- パーカッション
- ビブラート/コーラス
- レスリースピーカー
- エクスプレッションペダル
ハモンド・オルガンの機能説明
上項でピックアップした各機能について、詳しくみていきましょう。
なお、B-3モデルをベースとして説明します。
① 鍵盤
ハモンド・オルガンには次の鍵盤が標準で備えられています。
- 上段鍵盤 61鍵(+プリセット選択鍵盤 12鍵)
- 下段鍵盤 61鍵(+プリセット選択鍵盤 12鍵)
- 足鍵盤 25鍵
プリセット鍵盤とは左側になる黒と白が反転した鍵盤ですが、これは音のなる鍵盤ではなく、ドローバーによる音色の設定(プリセット)を呼び出すための鍵盤です。
鍵盤自体はピアノと違い電子的なスイッチであるため軽いのが特徴です。そのため、オルガンの大きな魅力である「グリッサンド」というテクニックが使いやすくなっています。
最後に鍵盤の大きな特徴としては、「多列接点」であるという点です。
【多列接点とは】
鍵盤の各キーに対して、ドローパー9本に対するスイッチが並んでおり、鍵盤をゆっくり押していくとドローバーの高い音から順番に発音される仕組み。
これにより、鍵盤を軽く触れたり叩いたりすることで、かすれた音やノイズっぽい音を出すことが可能であり、よりリズミックな演奏効果を出すことができる。
つまりは、軽く触れたときと、長く押し込んだ場合で音のなる種類が異なる(反応するドローバーが異なる)ため、その仕組みを使って、演奏に変化を付けられるということです。
オルガンプレイヤーを見ていると、左手がちょんちょんってタイミングよく触っている場面を見たことないでしょうか。まさにあれはこの多列接点の効果を生かしているわけです。
② ドローバー
鍵盤の上部についている引き出し式のレバーがドローバーです。
これはオルガンの音色を機能です。
ドローバーにはそれぞれ「16’(16フィート)」「5 1/3’(5と1/3フィート)」などの数字がついていますが、これはパイプの長さによって倍音をコントロールしていたパイプ・オルガンのパイプが由来となっています。
パイプ・オルガンの項目でもストップボタンによって音色を作っていたと説明しましたが、ドローバーはまさにそれです。どれだけの倍音を加えるかによって、大きくサウンドは変化します。
このドローバーのセッティングは奥深いものがありますが、一方で定番セッティングというものもありますので、別記事で詳しく触れていきたいと思います。
③ パーカッション
ハモンド・オルガンには音の立ち上がりにアタック音を加えることができます。
この機能はパイプ・オルガンに無い部分です。
この音を出すかどうかは。本体右側に設置されたパーカッションのON/OFFボタンによりコントロールすることができます。
④ ビブラート/コーラス
ビブラートとコーラスというのは、音に変化をつけるエフェクターです。
エレキギターにもまったく同じエフェクターがありますが、効果もほぼ同じです。
- ビブラート
音に揺らぎをつけることができます - コーラス
音のピッチが多少ずれて重なったようなひび効果がでます
このエフェクターをオンすることで、かなりリッチな響きを得ることが出来ます。
⑤ レスリースピーカー
ハモンド・オルガンの特徴を決定づけているのがこのレスリースピーカーです。
別名回転スピーカーともいわれものですが、このスピーカーを使うことで、オルガンの音が揺らいで聴こえます。
レスリースピーカーの仕組み
高音域用の回転ホーンと低音域用のウーファー用回転ホーンがそれぞれのモーターにより回転し真空管アンプを通すことで、「ドップラー効果」による揺らいで聴こえるわけです。
そして回転の速度を「FAST」「SLOW」で切り替えることができ、演奏時のこの切り替えがハモンド・オルガンの魅力となっています。
⑥ エクスプレッションペダル
エクスプレッションペダルは、音量をコントロールするペダルです。
オルガンはピアノのように鍵盤の弾き方で音量をコントロール出来ないため、演奏に表情づけを行うためにはこのペダルが必要です。
現在のシンセに上手く取り込まれています
冒頭でも触れたように、ハモンド・オルガンは現在の電子オルガンのフォーマットといえるほど、その機能が受け継がれています。
オルガン専用機ではありませんが、僕が普段使用しているNord electro4も上記で説明した各機能がうまく盛り込まれています。
実際に弾くのがシンセだとしても、実機(本物の機種。今回であればハモンド・オルガン)の知識があると、うまく機能を使える割合が高くなると思います。
まとめ
今回はオルガンの基礎知識として、オルガンの始まりであるパイプ・オルガン、そして今の電子オルガンに続く流れを作ったハモンド・オルガンについて説明しました。
現在はシンセサイザーでかなり高品質なオルガン音色を出すことができますが、オルガンの魅力ある演奏を引き出すには、音だけでなくレスリーであったり、ドローバーやパーカッションといったオルガンならではの特徴を発揮する必要があります。
なかなかオルガンの実機を触れる環境にないとしても、本来のオルガンの機能等を知ることで、シンセを弾くときの参考になりますので、キーボーディストの方は是非覚えておきましょう。
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