このブログは、ブログ名を「けんばんプレイヤーズ」と名付けているとおり、ピアノ、シンセサイザーといった鍵盤楽器の話題を中心に扱いますが、一括りに「鍵盤楽器」といっても他にどういった楽器を指すのでしょうか?
現在のキーボーディストは割と色々な鍵盤楽器(音色、奏法も含め)を操るのが普通になっていますが、昔は「マルチ・キーボーディスト」といって複数の鍵盤楽器を操る人を特別そう呼んでいた時代があります。
ということで、鍵盤楽器ブログの原点として、まずは主な鍵盤楽器の種類をまとめてみます。
鍵盤楽器の種類
ピアノ

もう説明する必要がないほどですね。鍵盤楽器…だけでなく「楽器の王様」と称されるピアノです。正式名称は「グラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」ですね。な、長いです(^^;
音を出す仕組みは、鍵盤を押すと内部のハンマーが弦を打つ(叩く)ことで鳴る仕組みとなっています。
ここでちょっと気付いたことはないでしょうか?
そうなんです!ピアノは「鍵盤楽器」であり「弦楽器」であり「打楽器」でもあるんです。こういった部分がまさに「楽器の王様」といわれる所以です。
理由は他にもあります。それは音域の広さと同時発音数の多さです。
ピアノの88鍵は様々な楽器の音域を1台でカバーし、左手で和音、右手でメロディを奏でることができます。まさに一台でオーケストラを演じることができる楽器です。
ピアノの音域に関して考察した記事もあります。

上記の特徴は他の鍵盤楽器も備えていますが、ピアノは弾く力の入れ具合によって、他の鍵盤楽器には出せないダイナミズムと繊細さを兼ね備えており、その表現力が最大の魅力かもしれません。
ここまであげたピアノの特徴とまったく同じポイントを、人気TV番組「関ジャム」のピアノ特集で取り上げています。

ピアノの種類には、グランドピアノ、アップライトピアノ等があります。
このブログで主に扱う鍵盤楽器です。

オルガン

オルガンにも様々な種類があり、古くは協会で演奏された「パイプオルガン」がその発祥です。音は鍵盤ごとに割り振られたパイプに空気を流すことで発音する仕組みで、一種の管楽器といえます。
小学校の時、足踏みペダルで音を出すオルガンに触ったことないですか?規模は小さいですがあれも空気で音を出すオルガン「リードオルガン」ですね。
ただしこのブログで扱う音楽はロック、ポップス、ジャズ寄り志向なので、ここではオルガンの定義をハモンドオルガンに代表される「電子オルガン」とします。
(ハモンドオルガンは文字通り電気回路を通して音を出す仕組みで、パイプオルガンの代用として開発されたのがきっかけで、次第にジャズやロックに使用されたという経緯があります。)
オルガンとピアノの違いを箇条書きすると以下の違いがあります。
- 音が減衰しない … 押さえている間はずっと音が鳴り続ける
- 強弱がない … 鍵盤を押さえる力を変えても強弱はつかない
- 鍵盤が軽い … 鍵盤は電子的なスイッチであるため軽い
ピアノに無いこれらの特徴が、裏返すとオルガンの特徴であり、オルガンならではの表現を可能とします。
また、オルガンには足鍵盤があり(無いタイプもあります)、足でベースパートを同時に演奏することができます。
この点、一人オーケストラという意味では、ピアノを上回っているかもしれませんね。
鍵盤での表現がつけにくい分、音の表現に「ドローバー」や「エクスプレッションペダル」を使用します。
ドローバーとは、オルガンの音作りを行うための9本のレバーで、これを操作することにより、音色を様々に変化させることができます。
「エクスプレッションペダル」とは、ボリュームペダルともいい、足でボリュームを調整することができます。
さらに、「レスリースピーカー」という回転スピーカーを使用することで、音がうねるような特徴的な音を出すことができます。(小型化されたオルガンはこの効果をボタン操作で再現することができます。)
ハモンドオルガンを弾いた様子を見たい方は、是非のジョン・ロード(元Deeppurple)の動画を見てください!めっちゃカッコいいですよ!
オルガンの元祖であるパイプオルガンと電子オルガンの代表機種ハモンド・オルガンについて解説しています。

クラビネット

元々「クラヴィコード」という鍵盤楽器があり、その楽器は弦を金具で突いて音を出す仕組みですが、クラビネットはその音を「ピックアップ」で電気的に変換し、スピーカーから音を出します。原理としてはエレキギターに近いですね。
その音色も独特で、あまり音を伸ばす使い方はせず、リズミックな使い方がハマる楽器です。
スティーヴィー・ワンダーの「迷信」という曲のイントロに使用されていることが有名で、パラディドル(両手で交互に弾く奏法)によるファンキーなフレーズが最高にクールです!
エレクトリックピアノ(エレピ)

「電気ピアノ」とも呼ばれます。
音の仕組みはピアノと似ていますが、こちらは弦をハンマーで叩いた音をピックアップにより電気的に変換しスピーカーから音を出します。
その音はとても優しく重厚、バラードに非常にマッチします。
有名な機種に「RHODES(ローズ)」と「WURLITZER(ウーリッツアー)」があり、それぞれ個性的な特徴を持っています。
エレピ、特にWURLITZERといえば、カーペンターズです。
カーペンターズの名曲の数々でエレピの様々なフレーズを堪能することができます。
ちなみに似た名称で「電子ピアノ」というものがありますが、これとは別物です。
電子ピアノはピアノの音色が取り込まれた電気製品であくまでピアノの代用という位置付けです。(日本の住宅事情ではアコースティックピアノが置けなかったりしますからね。)
シンセサイザー

シンセサイザーの名称は、波形から音を作るという意味の「シンセサイズ」が語源です。楽器としてのシンセサイザーはその音源装置に鍵盤を付けたものを指します。
シンセサイザーには様々な種類があり、写真は70年代に普及したミニムーグという「アナログシンセサイザー」です。現在でも根強い人気があります。
アナログシンセは単純な波形(ピーというブザーのような音)を加工することで、様々な音を作ることができます。しかし、ピアノやオルガンといったリアルな音色を作ることには限界がありました。
80年代の「デジタルシンセサイザー」登場以降、機材の進歩は著しく、シンセサイザーでどんな音でも出すことができるようになりました(これをPCM音源と呼びます。)
上記で説明した、ピアノ、オルガン、クラビ、エレピはもちろん、ギターやバイオリン、ドラム、サックスなどなど。
音色の他にも、ピッチベンダーやリボンコントローラー、パッドといった各種コントローラーや、音を取り込むサンプラー、リズムを作ったり作曲に使用できるシーケンサーなど、ありとあらゆる機能が詰め込まれているものもあります。
多機能で色々な使い方が出来るからこそ、その使い方にもセンスが問われる楽器でもあります。
このブログで主に扱う鍵盤楽器です。

ショルダーキーボード

文字通り、ストラップを用いて肩から吊り下げて演奏できる機種の総称がショルダーキーボードです。略称で”ショルキー”ともいいます。
ショルキーの存在によって、固定位置から移動出来なかったキーボーディストが、ギタリストたちのように、ステージフロントまで飛び出せるようになりました。
ショルキーには大きく2つのタイプがあり、「本体に音源を内蔵しているタイプ」と「音源を内蔵していないタイプ」です。
音源を内蔵していないタイプは、”MIDI”により他の機材(シンセサイザーや音源モジュール)と接続して音を出します。つまり出ている音の元は他の機材で、ショルキーはその音をコントロールするためのキーボード、というものになります。
音のコントロールは主に手で握るグリップ部分に集約されており、ここには”リボンコントローラー”や”ベントコントローラー”など音程を操るコントロール群、音色選択ボタンなどが配置され、鍵盤を弾きながらも、もう一方の手で制御できるようになっています。
メロトロン

これまで説明してきた鍵盤楽器は、弦をハンマーで叩く、風を送り込んでリードを鳴らす、電子的に音を鳴らす…ということで、ある程度分からない方でも「なるほど~」という感想を持てるかもしれませんが、メロトロンの音を出す仕組みは一風変わっています。
仕組みは、管楽器や弦楽器(ストリングス)の音を様々な音程でテープに録音し、各鍵盤を押すとセットされたテープが再生されるというものです。
今ではシンセサイザーで簡単に出せるストリングス等の音が、当時は本物以外に頼るほかなかったため、非常に重宝されました。
その音色は、デジタルとはまた違った(実際に演奏された音源なので当然なのですが)、なんとも温かみのある、味わい深いものです。
写真はビンテージといわれる実機ですが、現在でも真っ白な姿で、電子化・小型化されメロトロンの名称で販売されています。
アコーディオン

「蛇腹楽器」とも言われます。
右手と左手にそれぞれピアノ式鍵盤、またはボタン式鍵盤を使って演奏します。
アコーディオンにも様々なタイプがあり、両手ともボタン式のものもあります。
基本的には蛇腹を動かして、空気をリードに送ることで振動させ音を出します。
他の鍵盤楽器と違って、携帯性に優れているのが特徴です。
アコーディオンの左手はボタン式鍵盤ですが、この鍵盤はベースボタンと和音(コード)ボタンで分かれています。
ベースボタンを押すと単一の低音が鳴り、コードボタンを押すと和音が鳴ります。コードを弾くのに複数のキーを押す必要がないんですね!これはおもしろいなぁ~と思います!
ちなみに、左手のボタンが多かったり、少なかったり、まったく無かったりと一口にアコーディオンといっても様々な形態があります。
鍵盤ハーモニカ

アコーディオン以上に携帯性に優れているといえば、こちら鍵盤ハーモニカです。
鍵盤ハーモニカといえば、小学校の音楽の授業で扱う楽器ですから、ほとんどの人にとって馴染み深い楽器かもしれませんね。
楽器の構造はハーモニカと同様、金属製のリードに息を吹き込むことで音が鳴るようになっており、鍵盤ハーモニカの場合は音程の操作を鍵盤で行います。
実は鍵盤ハーモニカには楽器のバリエーションが豊富で、音域(「アルト」「ソプラノ」「バス」)によって専用の機種が存在します。バス鍵盤ハーモニカは合奏の中で専らベースなどの役割を果たします。
また鍵盤数のバリエーションもあり、バスなどは少な目の24鍵盤、多いと44鍵の機種もありますから、実は演奏的にも色々なことが出来るのです。
主に鍵盤ハーモニカを使って曲を演奏する「フライングドクター」というバンドもあって、鍵盤ハーモニカの可能性を感じます。
ちなみに、馴染み深い「ピアニカ」や「メロディオン」という名称は商品名です。
チェンバロ

「ハープシコード」とも呼ばれます。
中世ヨーロッパの貴族の前で演奏された楽器であり、その豪華な装飾を見てもその辺りがうなづけます。
ピアノの隆盛と共に、メインストリームから追いやられていきますが、その形態からしてもグランドピアノの源流といえます。
その証明として、ピアノの正式名称「グラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」の中にちゃーんとチェンバロが含まれていますからね。
チェンバロの音を出す仕組みは、鍵盤を押すと中の部品が持ち上がり弦を弾く仕組みです。
ハンマーで叩くピアノとはそこが大きな違いであり、よって、音を伸ばしたり、強弱をつけるという意味では限界があります。
チェンバロのそういった面を改良したのがピアノといえます。
ピアノの正式名称に含まれる 「ピアノ」は弱い音 「フォルテ」は強い音。
つまり、チェンバロにような楽器で強い音も弱い音も出せる、という意味なんだと思います。
seaboard(シーボード)

未来の鍵盤楽器とも言われる、イギリスROLI社から生まれたMIDIキーボード、それがseaboardです。
画像をご覧いただければ分かるように、鍵盤の配置自体は従来の鍵盤と同じですが、その形状はまったく異なり、鍵盤上がすべてゴムで覆われています。これまでの「弾く」というよりは「タッチ」するといった表現がより適当かもしれません。
その為従来の鍵盤では出来ないような演奏表現が可能です。
鍵盤を強く押し込んでビブラートのような表現をしたり(これは従来のシンセサイザーでもアフタータッチという機能で実現可能ですね)、音色を変えたり。鍵盤を擦ることで滑らかな音程を出すことができます。
特に擦ることでギターのチョーキングのように音程と音程の間を滑らかに移動する感覚、これはピアノ等では絶対出せないものですね。
百聞は一聴にしかず?…参考動画としてこちらをご覧ください。
ジョーダン・ルーデスすごい!
クロマトーン

クロマトーンはとてもユニークな鍵盤をもった楽器です。見ての通り黒鍵はなく全て白鍵です。しかも鍵盤の形も縦長ではなく六角形となっています。
その最大の特徴は音の並び方にあります。
通常の鍵盤は全音と半音の配列が均等ではありませんが、クロマトーンは1オクターブ12個の音を平等に配列しています。それにより、どのキーであっても同じフォームで弾くことが出来るんです。
ギターやベースであればキーが変わっても、横にずらすだけで弾けてしまいますが、鍵盤の場合はキーが変わるとすぐに対応するのも大変ですが、クロマトーンであればそれが可能です。
残念ながら現在は生産終了しているため、レアな鍵盤楽器となっています。
各鍵盤を演奏するプレイヤー名
上記のとおり鍵盤楽器には様々な種類がありますが、「鍵盤」という共通のフォーマットを使用しているだけで、仕組みから奏法までまったく異なるものが多いのです。
となると当然それらを演奏するプレイヤーも、その楽器に特化してくるのは自然の流れですね。
鍵盤楽器を演奏するプレイヤーには、次の呼び名があります。
- ピアニスト
- オルガニスト
- キーボーディスト
- シンセシスト
- dJ
- アコーディニスト
- チェンバリスト
詳しくはこちらの記事で解説しています。

まとめ
いかがでしたでしょうか、今回は主な鍵盤楽器をまとめてみました。
もちろん鍵盤楽器の種類はマイナーなものも含めるとまだまだありますし、楽器名ではなく商品名としてエレクトーンのようなものもあります。
同じ鍵盤楽器でも、音色や奏法、音量に大きな違いがあります。
ピアノと同じような感覚でオルガンを弾いても、オルガンの良さは絶対に生まれません。
それぞれの楽器に一流のプレイヤーがおり、そういう方達の演奏を聴くとやっぱり圧倒されます。それは「〇〇の楽器だからすごい」っていうのではなく、その楽器の特徴を生かしたプレイが出来るのと、その楽器への「愛」があるからなんだと思います!
個人的には、シンセをプレイするとき、少しで各楽器のイメージを意識した弾き方ができるように、今一度丁寧に考えたいなと思いました。

Amazonが提供する”Amazon Music Unlimited”は、
6500万曲が聴ける音楽サブスクリプションの中でもトップクラス!
今なら30日無料で聴き放題です。是非この機会に!