こんにちは、会社員@鍵盤弾きのカフェラン(@Cafe21130317)です!
シンセサイザーに興味を持つキッカケは人によって様々だと思います。
- 好きなバンドのピアノっぽいのを弾いている人の楽器はなんだろう
- ピアノ経験あるけどバンドでキーボードやることになった
- ゲーム音楽や効果音でピコピコやバキューンといった音って作れるのかな
- そもそもシンセにも色んな種類あってよく分からないー
今回は、シンセサイザーという楽器に興味を持った方に向けて、シンセサイザーの歴史や種類など基本的な事柄をまとめて解説します!
目次
そもそも「シンセサイザー」とは
シンセサイザーの英語スペルは「synthesizer」と書きますが、まずはこれを辞書等で調べてみましょう。辞書によって多少異なると思いますが、(楽器としての「シンセサイザー」以外で)おそらく「合成する人」とか「総合する人」とかの意味が出てくると思います。
もともと「synthesize」(シンセサイズ)という言葉があって、こちらは「合成する」という他動詞ですが、シンセサイザーはここから派生した言葉なんです。
つまり何かを合成する装置っていう感じですが、ではなにを合成するのか?
まぁ簡単に言ってしまえば「音」です。詳しくはこちらの図で説明します。
はい、すごく簡略化したものですが、こういう段階を踏んで音を作っていくのが「シンセサイザー」なんだな、という認識をお持ちいただければと思います。
シンセサイザーの音づくりについては、こちらの記事でも解説しています。
シンセサイザーの歴史と代表的な機種
ここからは、シンセサイザーがどのように発展してきたかを主な代表機種とともに年代順に振り返っていきます。
1960年代 モジュラーシンセサイザーの登場
Moogモジュラーシステム(Moog)
それ以前から電子楽器は色々開発されていましたが、一つの完成形に至ったのが1960年代に入ってから登場したモジュラーシンセサイザーです。
代表的なのは上の画像にもあるMoog社の「Moogモジュラーシンセサイザー」という機種で、モジュラーシステムともよばれます。
モジュラ―とは
「部品(モジュール)を組み合わせたシステム」という意味です。その部品というのが冒頭の「そもそもシンセサイザーとは」で触れた、音作りのための装置(VCO、VCF、VCA)の装置群です。
各モジュールをパッチとよばれる配線でつなぎ、音作りを行う仕組みです。
つまりこの時代で、シンセサイザーにおける音作りの基盤が作られたということです。
日本におけるモジュラーシンセの第一人者といえば冨田 勲、そして弟子でもあった松武秀樹(第四のYMOメンバーともいわれた)です。
次の動画では、YMOでも活躍したモジュラーシンセ(松武さんのシンセは通称「タンス」という呼び名がついています)が映像に映っていますよ!
出典:fingerdancing 2012
1970年代 小型化された「ミニモーグ」
Mini Moog(Moog)
モジュラ―シンセはそのシステムや音色についても素晴らしいものでしたが、如何せん巨大で高価すぎました。(当時の日本円で200万円以上!)
そこで音源部と鍵盤を一体化させ、より小型化を図った「ミニモーグ」を発売しました。
このミニモーグが素晴らしいのは左側にピッチベンダーや、モジュレーションホイールといった音程やビブラートをコントロールする装置が標準で搭載されているほか、音色の変更も手軽に出来るため、ライブでも活躍できるシンセであったというところです。
当日のプログレ(プログレッシブ・ロック)界のキーボーディスト(キース・エマーソンやリック・ウエイクマン)はこぞって使用したことでいっきに広まった感があります。
図太く色気のある音色はやっぱり憧れですし、今でも「シンセリード」という音色のイメージはミニモーグ!のような気がします。機種自体も今でも現役でかつ人気がありますね。
出典:musictrackjp
1978~80年 ポリフォニックシンセの登場!
PROPHET5(Sequential Circuits)
実はミニモーグは、モノフォニック…つまり単音した出すことが出来なかったのです。
(なのでシンセ・ソロで重宝されたんですけどね)
そんな中、5音同時に発音し、かつその音色をメモリーすることが可能という、当時としては超画期的なことが出来る機種、それがプロフェット5(シーケンシャル・サーキット)です。
和音が弾けるシンセの登場で、楽曲の中での使用度も一段上のレベルになり、1980年代を迎える前の新しい時代を感じさせるシンセでした。
JUPITER8(ROLAN)
プロフェット5は海外製のシンセですが、わが日本の名機といえばジュピター8(ROLAN)ですよ!
ジュピター8は、64音色のメモリーが可能で、音色も非常に素晴らしいという評価がされており、日本を代表するアナログシンセサイザーという地位を確立しています。
1980年代初頭 MIDI規格の制定
シンセサイザーをポリフォニック化するということは、内部の音高情報をデジタル化するということです。そこで、これを取り出して別の楽器とやり取りしようという発想が生まれます。
この発想が「MIDI規格」と呼ばれるものです。
最初のデモンストレーションは1983年1月、JX-3P(Roland)とProphet-600(シーケンシャル・サーキット)を相互に接続して演奏されました。
画像は記念すべき初のMIDI搭載機である”JX-3P”です。
1980年代 デジタルシンセサイザー&PCM音源の登場!
DX7(YAMAGHA)
さて、80年代初頭にMIDI搭載のデジタルシンセが生まれ、ここから本格的なフル・デジタルによるシンセサイザーが登場してくることになります。
中でも、一つの時代を変えたともいわれたのが1983年に発売された「DX7」(YAMAHA)です!
みなさんも一度はこの名前聞いたことないでしょうか?
80年代の音楽番組などで登場するバックバンドなどをみると、だいたいこのDX7を弾いていたようです。
この機種の音源は「FM音源」という方式を採用しており、従来のアナログシンセではなかなか出せない金属的な感じやキラキラした音色を得意とします。
中でもエレクトリックピアノの音は、DX7の中で個人的にもっとも好きな音です。
出典:SynthMania
D50(ROLAND)
DX7の登場はある意味、他メーカーにとっては衝撃であったようです。
「低価格でこんな音が出るシンセを出されたらたまったもんじゃないよー(><)」と言ったかどうかわかりませんが(苦笑)
実際に約3ほどDX7の天下が続いたあと、1987年にROLANから満を持して出されたデジタルシンセが「D50」です。
この機種は「LA音源」という方式を採用していて、PCM波形っていう実際の音源(ピアノやバイオリン等)と、アナログシンセで説明した波形成分を合成して音を出すという、とても個性がはっきりしたシンセで、リバーブやコーラスといったエフェクト内蔵でも話題になり、こちらも大人気となりました!
M1(KORG)
老舗2社の後塵を拝する形となったKORGですが、1988年に発売されたM1(KORG)で一躍最前線に躍り出た感があります。
こちらもPCM音源を搭載した本格的なシンセです。
PCM音源とは
実際のピアノ等の生楽器を録音(サンプリング)して、それを鍵盤に割り当てて演奏できるようにしたもの。この音源によりシンセでリアルな音色の演奏が可能となった。
考え方としては以前からありましたが、大容量のデータ保存領域が必要であったため実現できませんでした。テクノロジーの進化によって可能となった音源方式といえます。
中でもM1のピアノ音色はとても人気で、その後に登場するKORG製のシンセにはほぼ「M1ピアノ」という音色が搭載されて、今でもよく使用されます。
また、当時としては珍しいシーケンサーが搭載されて、この頃から作曲に活用できるシンセとして「ミュージック・ワークステーション」という名称も使われ始めました。
1990年代 ワークステーションの更なる進化!
1995年にKORGから発売されたTRINITY(トリニティ)は、ワークステーションシンセを更に進化させるものでした。
まず特筆すべきは、本体にタッチパネル式の液晶画面が備えられたことです。これにより、音色作成や各種パラメーター設定等の作業がやりやすくなったほか、見た目にもインパクトありました。
見た目でいえば、これまでの日本製シンセにおいてボディカラーといえば黒と相場が決まっていましたが、TRINITYではシルバーの筐体が採用され、当時とても新鮮だったのを覚えています。
コントローラー類に関しても、このTRINITYから始まり、その後の機種に引き継がれているものが多いです。例えばジョイスティック上部のスイッチ1及び2。これは様々効果をアサインできるものですが、現行機種のKRONOSやKROMEにも採用されているKORGの定番スイッチですね。同様にリボンコントローラーも後の機種に引き継がれています。
今につながる流れを作った、一つのターニングポイントであった機種といえます。
1990年代 バーチャルアナログシンセの登場!
Nord Read1(Clavia)
1980年台がデジタルシンセが台頭した年代でありますが、どうしても音色的に似通ったものが多くなってきました。
また、膨大なパラメーターやレイヤー構造により音作りは複雑で、エディットにも長時間を要するなど苦労する面もありました。
そこで見直されてきたのが、往年のアナログシンセサイザーです。
アナログシンセの「シンセらしい太い電子の音」は生楽器のシミュレートとしての役割とは別で、シンセでしか出せない音ですから。
しかしアナログシンセは、チューニングが安定しない等の扱い方が難しい面もあったため、登場したのが、中身はデジタルシンセでありながら、まるでアナログシンセのように使えるバーチャルアナログシンセです。メーカーによってはアナログモデリングシンセなど読み方は様々です。
その先陣を切ったのが赤いボディがかっこいいnord readです。
このシンセは音色もアナログの良さを再現しているとともに、やはりそのデザインはスタイリッシュで、まさに一世を風靡した機種ですね。
JP-8000(ROLAND)
nord readと同じ時期くらいに発売されたバーチャルアナログシンセがJP-8000。
私Cafeが今でも所有する1台で、シンセの音作りを学んだシンセです。
音質は尖ったり、ギラギラした音色が多い印象で、使える場面が以外と限られたりしますが、コントローラーも豊富で、アナログシンセっぽく使うには、非常に面白い機種でした。
1990年代 ソフトウェアシンセの台頭
このブログでは鍵盤楽器にフォーカスしているため詳しくは触れませんが、90年代は鍵盤が付いたシンセサイザーではなく、パソコン上で動くソフトシンセサイザーが台頭した年代でもあります。
パソコンにMIDIキーボードをつないで弾くため、鍵盤自体には音源がなく、あくまで音源はソフト…つまりデータです。
このソフトウェアによって手軽に作曲や編曲できる文化が根付き、音楽に取り組む環境ががらっと変わりました。
この動きが今のボカロ等にもつながっており、まさに作曲が大衆化していったと思います。
2000年代以降のシンセサイザー
この先のシンセサイザーの進化は、ここまで紹介したシンセの延長線上で更なる進化を遂げて今に至ります。
主な進化のポイントは次のとおりです。
- 音源の大容量化により音色や音質の向上
- コントローラーのバリエーション増加(ピッチベントやモジュレーションの他に、リボンコントローラーやパッド、手をかざすと発振するD-ビームといったものもあります)
- 軽量化への進化(軽いものだとエレキギターと同じくらいのモノも)
- タッチパネルの大型化など操作性の向上
まとめ
シンセサイザーの機材の進化を辿ってきました。
今回ご紹介したシンセサイザーは、各時代を代表する主な機種であり、実際はその過程でたくさんの機種が登場しています。
シンセサイザーの進化は、世の中のテクノロジーの進化と密接につながっており、そこが他の楽器とはちょっと違うところかなと感じています。
キーボーディストはどうしても新しい機種に目が行きがちですが、同時にヴィンテージを愛する傾向もあります。
特に新しくシンセサイザーに興味を持った方は、是非古い機種をちょっと知ってみたら、シンセの仕組みや原型が分かりやすいと思います。
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