インターネット上で個性豊かなピアノを披露しまくる人たちを総称して、最近では”ネットピアニスト”と呼ばれています。
そんなネットピアニストたちの動画で、特に話題になったものを楽譜化したのが今回発売された「総再生回数1億回超え!ネットピアニストたちの動画を楽譜にしてみた結果…!?」です。
- 既にネットピアニストの動画を視聴したことがあり、ファンである
- 知り合いに一味違うピアノを披露したい
- もっと幅広いピアノアレンジを学びたい
気になっている方は、この記事を読むことで購入検討の参考としてみてください。
目次
- 登場するネットピアニスト
- 掲載楽曲の動画とレビュー
- ①「ふるさと」を3つの雰囲気でアレンジしてみた : ずっしー
- ②もしショパンが「Happy Birthday to You」を弾いたら : tj
- 「歓喜の歌」をきらめきちょい増しで弾いてみた : いりす
- 「天国と地獄」を感動アレンジしてみた : ござ
- 「シャボン玉」をピアノ曲にしてみた : ものはっぱ
- バーでバレずに水戸黄門を弾く方法 : 菊地亮太
- 映画「サマー・ウォーズ」の劇中歌を弾いてみた : gao
- 「猫ふんじゃった」クロスジャンルアレンジ : ぜろいち
- 魔法の伴奏 : ずっしー
- テンションの使い方がなんとなくわかる「大きな古時計」 : ずっしー
- 「カノン」を徹底解説! : いりす
- もしもモーツァルトがヤマハ音楽教室の生徒だったら : 菊地亮太
- 「きらきら星」をさらにキラキラさせてみた : tj
- 「あんたがたどこさ」をピアノ曲にしてみた : ものはっぱ
- 「丸の内サディスティック」で実用的リズムパターン解説! : ござ
- 「四季の歌」で基本的な変奏の方法を学ぼう : gao
- 「ぞうさん」ピアノジャズアレンジ : ぜろいち
- まとめ
登場するネットピアニスト
本書に登場するネットピアニストは全部で8名。いずれも優れた演奏技術の持ち主であることはもちろん、各自の色(個性)というものがあるのが特徴です。
以下に名前とツイッターアカウントを掲載します。
- ずっしー
@zussie-piano - いりす
@iriirisriri - tj
@tojio_ - ござ
@gprza - ものはっぱ
@gm0n0happa - 菊地亮太
@komuro_metal - ぜろいち
@Rei01_N - gao
@ga0o
ネットピアニストとはいいますが今や活動の幅をどんどん広げていて、例えばずっしーさんやござさんは、月刊誌「ピアノ」で連載をもつまでになっています。
是非、今から注目しておきましょう!
掲載楽曲の動画とレビュー
それでは、さっそく掲載されている楽曲を1曲ずつ紹介とレビューしていきます。
①「ふるさと」を3つの雰囲気でアレンジしてみた : ずっしー
童謡「ふるさと」をベースに、おしゃれ、短調、せつなさの3種類にアレンジした講義形式の動画です。
例えば「おしゃれ」の場合は、ポイントとして”ツーファイブ進行”、”テンション散りばめ”、”随所に裏コード”というキーワードがでてきます。
こういった要素をどこで使っているか楽譜と合わせていくことで、まるで答え合わせのように理解していくことができます。
童謡って基本的におしゃれとは対極にあるものですが、誰でも知っている曲をサラッとおしゃれに仕上げることによって「おお~!」っていうインパクトがありますよね。
難易度が高くなり過ぎないずっしーさんの選曲や、わかりやすい画面上の説明など、優しさがあふれています。
②もしショパンが「Happy Birthday to You」を弾いたら : tj
誕生日の定番曲「Happy Birthday to You」を、優雅な3拍子のショパン風アレンジに仕上げています。
ところどころで飛び出すフレーズに「あ、これショパンのあの曲の一節かな?」っていう聴き方をしても面白い。
友達や恋人、家族の誕生日に弾いてあげたらウケること間違いなし!
と、同時に譜面にはスタッカートやアクセント、タイなどの指定が盛りだくさんなので、表現力を身に着ける練習曲としてもよさそう。
このアレンジはツイッター上でも話題になっていて「#もしショパ」のハッシュタグで、多くの人が演奏していますよー
「歓喜の歌」をきらめきちょい増しで弾いてみた : いりす
ベートーヴェンの「歓喜の歌」をきらめきちょい増しで弾いてみた、というもの。たしかにきらめいていますw
その秘密は左手にあるのでは…と個人的に分析します。アルペジオを用いて上下に音域を広めに奏でることで、きらめき感につながっている気がします。
あと、シンコペーションを多めに使って跳ねた感じを演出しているのも、きらめきに一役買っているかも。
「歓喜の歌」はいりすさんのお父さんが大好きな曲だそうで、子どもの頃レッスンで習い、お父さんの前で弾いたらとても喜んでくれた思い出の曲だったそうです。そんなほっこりエピソードも掲載されていますよ
「天国と地獄」を感動アレンジしてみた : ござ
個人的に本当にこの動画が大好きで、もう何回見たことか…。
動画冒頭は普通のバージョン(これも歯切れがよくてカッコイイ)ですが、感動アレンジのなんてすばらしいことか!
動画では感動ポイントとして12のポイントで解説を加えてくれますが、実践するとなるとなかなか難しい…。今回楽譜化されたとなると、チャレンジ心がむくむくと湧いてきます。
難易度はいっきに上がりましたが、誰でも知っているこの曲をドヤ顔で演奏したい人には、是非おすすめ。絶対受けます!
「シャボン玉」をピアノ曲にしてみた : ものはっぱ
童謡「シャボン玉」を近現代風ピアノ曲に仕上げた一曲。テーマは屋根までといわず宇宙まで…?
いやーこれも難易度高いですねー。
まず拍子が頻繁に変わる。8/6→3/8→4/4→8/6…という感じで変拍子なアレンジ。
そして転調や音域の変化も多い(ト音記号だと思ったらヘ音記号になっているなど)楽譜をよく読み込まないと…なアレンジです。
楽譜を眺めているだけでも感心するレベルです。
動画のような雰囲気を出すのが、めっちゃ難しそうですが、チャレンジしがいのある一曲といえます。
バーでバレずに水戸黄門を弾く方法 : 菊地亮太
ジャズテイスト満載することで水戸黄門と悟られないようにする…というものですが…バレてますよね?(苦笑)
でもこれはバレた方がいいくらい、オシャレでかつ盛り上がる演奏だと思います。
ジャズは4ビートと思いきや、この曲は3拍子アレンジ。”ジャズワルツ”というアレンジに仕上げているようです。水戸黄門とワルツ…この組み合わせもイカしてます。
身につけていると何かといいことありそうな一曲です。
映画「サマー・ウォーズ」の劇中歌を弾いてみた : gao
映画「サマーウォーズ」から”Overture of the Summer Wars”をカバー。
もともと明るく楽しい雰囲気の楽曲ですが、その雰囲気を生かすような、メリハリのある楽しいアレンジになっています。
gaoさんの動画はごらんのように、上から落ちてくるバーをタイミングよく弾いているもので、MIDIで鍵盤を接続して実現しています。これがまた観ていて楽しいですよね。
この動画では弾いている鍵盤の位置、手の動きなどが分かるため、じっくり研究すれば譜面なくても弾けるかもしれません。でもやっぱりそこまでの自信がない人にとって譜面はありがたいですね。
「猫ふんじゃった」クロスジャンルアレンジ : ぜろいち
誰でも知っている「猫ふんじゃった」をジャズ、ロック、クラシック、ラテンなど様々なジャンルで演奏!
楽譜には「Jazz」「Rock」のように、ここからこのジャンルですよ~という表示があるので、自分で弾いてみたいところを選んで弾きやすい構成になっています。
いや~しかしテンポが速い!
そのうえキーがE♭マイナーなので黒鍵が多い。そういったところで運指的にもかなり難しいと感じますが、チャレンジするときは、まずテンポをさげて、ゆっくりマスターしていきたいですね
魔法の伴奏 : ずっしー
一時期ネット上で話題になった「魔法の伴奏」。この伴奏に合わせて黒鍵を適当に弾くだけで、あら不思議、即興ピアニストになれちゃう!というすばらしい取組。
このからくりは動画でも解説しているとおり、ポイントは”ペンタトニックスケール”にあります。このスケールは5音で構成されており、割と何にでもハマるという性質があります。
つまり5音だけなので初心者でも扱いやすいわけですが、ちょうど黒鍵の数も5音。じゃあ黒鍵だけ弾こうっていえば分かりやすいよね、ということで、黒鍵のみを使ったキー(G♭メジャー)で弾いたものが「魔法の伴奏」です。
自分がアドリブ弾いてもいいし、伴奏弾く側にまわってもいいし、是非家族や友達とワイワイ楽しみたい楽譜ですね!
しかし仲いいなぁ~
テンションの使い方がなんとなくわかる「大きな古時計」 : ずっしー
これもめっちゃ勉強になる動画です!
元々が「大きな古時計」という余計な装飾のないシンプルな楽曲を題材にしてくれているので、テンションコードを加えたときの変化がよく分かりますね。
そして楽譜には吹き出しで解説がこれでもかと加えられているので、すごくイメージがつかみやすくなっています。
「カノン」を徹底解説! : いりす
ピアノ弾きなら「パッヘルベルのカノン」を一度は弾いたことあると思いますが、この動画ではそのカノンをバリエーションを丁寧に解説しています。
このバリエーションを通じて、ベースライン(左手)の動きだったり、長調→短調の変化だったりとアレンジ手法を学べるのもうれしいところ。
もしもモーツァルトがヤマハ音楽教室の生徒だったら : 菊地亮太
ヤマハ音楽教室のCMでお馴染みのメロディで始まるこの動画は、ネタ動画のようで、きちんとモーツァルトの何たるかが感じられる、そんなアレンジだと思います。
どういった部分がモーツァルトを感じさせるのかを意識しながら譜面をみると、思わぬ発見があったりと勉強になります。
そして、さりげなく…というかまんまトルコ行進曲が盛り込まれていたりと、飽きさせない工夫も。
「きらきら星」をさらにキラキラさせてみた : tj
きらきら星をさらにキラキラに!
その名に恥じないキラキラ具合に仕上がってますね。両手を使った広い音域に渡るアルペジオが特徴です。こういった流れるようなフレーズを連続して綺麗に弾けたら、聴いている方も気持ちいいよね。
転調して雰囲気が一変するところもいいです。
楽譜では、フレーズの流れが矢印で示される工夫があります。そういったフレーズのつなぎ、流れを意識するという面でも参考になりますね。
「あんたがたどこさ」をピアノ曲にしてみた : ものはっぱ
前半でご紹介した「シャボン玉」と同様、ものはっぱさんの近現代風アレンジ。
この難易度も高いです。近現代風というのがそうさせるのか、なかなかのハードルを感じさせます。
途中、途中で「ドーン!」とキメがあるのが気持ちいい。こういうのは思いっきりいきたいよね。
「丸の内サディスティック」で実用的リズムパターン解説! : ござ
「丸の内サディスティック」を題材にリズムのお勉強。
スタンダードな8ビートから16ビート、シャッフルとリズムパターンを次々変更して演奏例を紹介してくれます。
動画内にも譜例が表示されていますが、今回の楽譜ではそれがすべて分かるのと解説がありがたい。なんせ動画では左手の動きが速すぎてわからないので…
「四季の歌」で基本的な変奏の方法を学ぼう : gao
これは練習曲としてもよく出来たアレンジだと思いました。是非楽譜を購入してチャレンジしてほしいです。
最初はほほ~これなら出来るかな…と思いますが、徐々に左手が鬼のように16分音符の連即。このテンポで安定的に弾けたら自身を持ってよいレベルでしょうか。
右手はどうかというと、親指などで低音部の同一音を弾きながら小指でメロディを弾くなど地味に難しい。
「ぞうさん」ピアノジャズアレンジ : ぜろいち
これはひたすらに、カッコイイ!オシャレにつきます。
ガチのジャズアレンジに特化している分、ソロピアノでジャズを弾くという題材としてもいいと思いますし、特にウォーキングベースが非常に参考になります。
動画の雰囲気もオシャレで、鑑賞するだけでも楽しめる。
まとめ
全収録曲の動画と楽譜の特徴などをレビューしました。
ネットピアニストは動画再生を伸ばすためにも、演奏する曲に様々な工夫が施されており、枕詞に「一風変わった」という表現を付けたくなりますが、それっていうのは、それだけインパクトだったり、面白さ、オシャレさ、テクニカルさ…どれも普通を突き抜けているということだと思います。
今回楽譜化されたことで、観るだけだった動画を実際弾いて楽しめる環境になったのはうれしい限りです。
また学習や練習教材としても側面でも優れているので、是非広く活用されていい楽譜集だと思います。
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