1年に4回発行(季刊)のキーボードマガジン!
2020年冬号が発売されましたので、主な記事をピックアップしてレビューしたいと思います。
今回はピアノ特集ですので、特にピアノに興味のある方必見です!
目次
掲載記事の紹介
H ZETT M(H ZETTRIO)のインタビュー
巻頭記事は2020年1月1日のニューアルバムを発表するH ZETTRIOのH ZETT Mへインタビュー。
なんとこのニューアルバムは、2019年の1月から1か月に1回必ずシングルを発表し、それらを集めたアルバムなのです。
インタビューの構成について、冒頭は1年に渡るシングル発表のねらいや感触、エピソード等についてですが、メインはアルバム収録の楽曲解説です。
インタビューで印象深いのは、ドラムやベースの強みを生かした楽曲にしようという意識が強いということ。実際に本作はベースのNIREの作曲作品が収録されており、それがまたかっこいい!
あと頻繁に出てくるのは「浮遊感」というキーワード。
通常、楽曲の終わりはそのキーのトニックで終わることで終止感を感じますが、H ZETT Mの場合はあえて終止感を抑えめにすることで浮遊感を出しているとのこと。
浮遊感を感じさせる一つの例としては、キーCの場合に最後C(ドミソ)で終わるときでも第2転回形(ソドミ)にして弾く。こうすることで、一番下になるのがドではないので半分解決しているけど浮遊感がでるとのこと。
とにかく精力的に活動しているのが伝わる記事でした。ちなみに1か月に1曲シングル発表は2020年の継続されるようです。
結びの言葉として掲載されているのが「プレイ的には新しい発見がまだまだいっぱいある。それが楽しいですよね」でした。
上原ひろみ インタビュー
インタビュー2人目はジャズピアニストの上原ひろみ。普段はトリオでの演奏活動が主ですが、この度10年ぶりのソロピアノアルバムのリリースのタイミングで登場となりました。
インタビューはもちろんニューアルバムの話題が中心ですが、本人による全曲解説として譜例を豊富に掲載してくれるあたりがキーボードマガジンですよね!
そしてこちらも結びに以下の言葉を話しています。
まず何よりピアノは楽しいなと思いました。改めて私は本当にピアノというが楽器が大好きだなと。いくら弾いても新しい発見があるし、ピアノという楽器の可能性を感じました。
偶然でしょうが、H ZETT Mと同様の趣旨を述べています。
やはりこのくらいのレベルになっても、常に新しい発見があるっていうのは、向上心があるのはもちろんですが、本当にピアノを好きだからでしょうね。
そしてどんどん深く突き詰めていく感じ…見習っていきたいです。
上原ひろみさんの場合は、本当に楽しそうにピアノを弾くし、それがすごく魅力的ですよね。
特集記事「響く、ピアノ」
本号のメイン特集記事です。
ピアノは元々クラシック音楽を奏でるために発展してきた楽器であり、ソロ、またはオーケストラの中で活躍した楽器です。そのピアノがどのようにポピュラーミュージックに取り入れられるようになったかを解説した記事になります。
この歴史を紐解くうえで、それぞれの年代と当時のシーンを順を追って解説しています。
- ポピュラー音楽の誕生とピアノ
- 60年代の日本のポップスとピアノ
- ニュー・ロックとシンガーソングライター
- CPシリーズとニュー・ミュージック
- フュージョンブームとエレピの定着
- デジタル・ピアノの登場と第二次バンドブーム
- JPOPとベーシックキーボードの復権
- もっとカジュアルに、もっと本格的に
ピアノがどのようにシーンに溶け込んできたかが、よく分かる記事になっています。当時の機材の変遷もわかる良記事です!
ABEDON インタビュー
ABEDONは最近よくキーボードマガジンのインタビューに登場していますね。今回は”ピアノ”という切り口でインタビューに登場です。
ABEDONはどちらかというと”シンセの人”っていうイメージありますが、ピアノにも並々ならぬ思いがあるようです。
若造が弾くピアノが嫌い、でも子どもと老人が弾いているピアノが大好き
ABEDONがインタビューでこう話しました。これは流暢にしゃべるスピーチは聴き流してしまうけど、思いがあってとつとつとしゃべられるとグッとくるから。
そして、近年はユニコーンの他に、ソロとしてピアノとモジュラーシンセを組み合わせたライブを展開している話。
この両極端ともいえる組み合わせもすごい。ABEDONの幅広さが分かります。記事であげているライブではありませんが、ABEDON公式チャンネルにソロライブの様子があります。
機材や奏法のことなど、ABEDONのインタビューは具体的な話が多いですが、インタビュアーの質問に明確に答えてくれるのでとても分かりやすい。
特にバンドのキーボーディストには参考になる話がたくさんあると思います。
ちゃんMARI(ゲスの極み乙女) インタビュー
ゲスの極み乙女の楽曲の中で、ピアノはアレンジの中核となっていますが、そういった観点からピアノ特集の号にちゃんMARI登場です。
インタビューは幼少期におけるピアノとの関わりからスタート。4歳からピアノを習い始め、小学一年で既に曲作りも開始。しかもその時作っていたのはジャズテイストの曲というから驚き。
面白いのは、高校でコピーバンドに誘われ参加することになったが、演奏するのはキーボードが入っていない曲ばかりだったというもの。で、ギターが好きだったので鍵盤でギターのマネばかりしていたというエピソード。
そこでの色々な試行錯誤が語られていますが、そういう経験はきっと今につながっているんじゃないかと思いました。
ちょうど過去記事で、キーボードパートがない場合の立ち振る舞い方を解説しています。こちらもどうぞ。
そして意外だったのが、「キラーボール」の間奏で弾くショパンの「即興幻想曲」のエピソード(以下動画でその部分を視聴できます。)
てっきりクラシックピアノがバリバリで、この手の演奏はお手の物と思いきや、本人曰く「その時が人生で一番練習した」らしいです。ピアノがあるスタジオを1日8時間くらい押さえて猛練習。
そしてもう一つ、この秋(10/18)FUKUSHIGE MARI名義でリリースしたソロEPに関する話題。今までバンドの一キーボーディストだったので気づかなかったのですが、ちゃんMARIは歌がうまい!
メロディもステキだし、ソロピアノにもいつかチャレンジしたいと意欲的なちゃんMARIでした。
ポップス/ロックに必須のピアノ・フレーズ
CDと連動した企画。CDにはお手本演奏と練習用オケが収録されています。
以下のフレーズが紹介されています
- 白玉を制する者はポップスを制する
- シンプルながら最高に奥深い4つ打ち奏法
- 最新の音楽事情を見据えたリズム感を紐解く
- 分数コードはテンションコードを学ぶ近道
- よりジャジィなサウンドをコントロールする
- アップテンポ楽曲でのピアノアプローチ
- 王道を再確認してさらなる高みへ
スコア
ピアノ弾き語りスコアが4曲掲載されています。
- 「ノーサイド」松任谷由美
- 「ギブス」椎名林檎
- 「クリスマス・イブ」山下達郎
- 「さよなら」オフコース
まとめ
キーボードマガジン冬号の主な記事をレビューさせていただきました。
ロックやポップスのキーボーディストにとってもピアノは特別なものがあります。特に生ピアノをきちんと弾くことはある種の挑戦です。
そんな王道のピアノを、こうして特集してくれると、気づきにもあるし、気が引き締まる思いもします(←考えすぎ?)
インタビューも面白いですが、演奏面でも実践的な記事が充実していますので、気になる方は是非手に取ってみてください。
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