今回はバンドマン目線で選ぶ関ジャムのおススメ回の3回目ということで、2018年10月7日に放送された、清塚信也さんによる”ピアノが楽器の王様”たる所以を解説してくれる回です。
「ピアノが楽器の王様」であることは、このブログでも以下の記事でご紹介しているところです。
さあ、どういう部分が王様といわれる理由なのか、さっそくいってみましょう!
目次
今回の番組構成は…
今回のメイン解説はピアニストの清塚さんが担いつつ、ゲストとしてバイオリニストのNAOTOさんも参加されました。
ピアノへの対比としてバイオリンが呼ばれた感じですが、実際、今回は完全に引き立て役になっていました。清塚さんのピアノアピールがすごすぎて、NAOTOさんもタジタジ…。
その他のゲストは山本彩さん。
構成は、ピアノが楽器の王様である理由、ピアノの歴史、そしてピアノにおけるスーパープレイといった流れで進行されました!
今夜の関ジャムは
ピアノの魅力を大特集!★なぜピアノは楽器の王様!?
清塚信也がピアノの魅力を楽しく解説!
対抗心むき出し!バイオリニストNAOTOも参戦!★ピアノの進化の歴史も紐解く
チェンバロ奏者の曽根麻矢子も参加し
鍵盤楽器の変遷の歴史も紹介★プロのスゴ技テクニックも披露!
— 関ジャム完全燃SHOW(テレビ朝日) (@kanjam_tvasahi) October 7, 2018
ピアノが楽器の王様である理由
さて、清塚さんからピアノが楽器の王様である理由として、次の3点をあげました。
- オーケストラ全楽器の音域が出せる
- 音量を自由自在に変えられる
- 同時に複数の音が出せる
①オーケストラ全楽器の音域が出せる
ピアノの鍵盤は88鍵あり、7オクターブと1/4まで出すことができます。ちなみにバイオリンは4オクターブ程度。
これはオーケストラの全楽器をカバーできる音域です。
ちなみに、以下の記事でもピアノと各楽器との音域比較について解説していますので、併せてご覧いただければと思います。
ここで音域の広さをフルに活用した曲として、清塚さんがリストの「ラ・カンパネラ」を実演します。これに、他の出演者一同が拍手~。
そして、NAOTOさんが、「ラ・カンパネラ」はバイオリン曲としても編曲されています、ということでを演奏します。音色は素晴らしいものの、錦戸亮くんから「ソロっぽいですね」という一言。
番組的に、ここでの結論は
バイオリン → 限られた音域で弾く
ピアノ → 広い音域でゴージャスな感じ
といった感じで、ピアノの圧勝感を醸しつつ次の項目へ
ちなみに「ラ・カンパネラ」はこういった曲です。
②音量を自由自在に変えられる
ピアノは小さい音から大きい音まで自由自在に変えられるんです、と言いながら、ピアノでとても小さい1音、そして、大きな音でコードをジャーンと弾く清塚さん。
当然、バイオリンも出せるよね?とNAOTOさんに振り。
(渋々といった素振りで)同じくバイオリンで小さい音と大きい音を弾くNAOTOさん。
ここでピアノの表現の幅がいかにすごいかについて、サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」を実演。
弾き終わりに、NAOTOさんの方を見てどや顔ww
NAOTOさんも同じ曲をバイオリンで弾きますが、音量ではやはりかないません。
司会の村上くんから、ピアノと同等の音量を出すにはバイオリン何人くらい必要ですか、との問いに。
「4、50人はいるんじゃないですかね」との答え。
ここでもピアノの圧倒的な表現力に軍配!
ちなみに元々「ツィゴイネルワイゼン」はバイオリン曲なんですよね。
③同時に複数の音が出せる
ピアノの大きな特徴として、一台でメロディも伴奏も弾けること。これは他の楽器ではなかなか出せない大きなメリットです。
この点について、錦戸亮くんからこんなコメントが飛び出します。
ピアノは主役にもなれるし、いつでも伴奏にもいけるなどオールマイティ。
だって落ち着くじゃないですか、ピアノの音って。寝るときとか歯医者でもかかってるし。
そう考えると、ピアノって生きるために必要だなって思う。
ピアニストにはなんともうれしい一言。
これをうけて古田新太さんから「またまた~考えてきたな~ww」とするどいツッコミ。
今回のこの3点については、当ブログの記事で触れたピアノのメリットとぴったり合致しました!これも個人的にはうれしかったです。
ピアノの歴史
実はピアノが現在の形になってまだ100年ほどしか経っていない…つまりバイオリンなど比べると非常に新しい楽器といえます。
ただし、”鍵盤楽器”という括りでいうと、オルガンやチェンバロは紀元前からすでに存在していたのです。
ここでからパイプオルガンやチェンバロに関する話題が進行します。
パイプオルガン
清塚さんからパイプオルガンの特徴として、ある意味”管楽器に近い”楽器で、その音色は素晴らしいものの”機動力がない”という説明がありました。
構造上、パイプに空気を送って音を出すオルガンは、音の立ち上がりが遅いため、細かいパッセージ等のフレーズは苦手なのです。
チェンバロ
それを克服しているのがチェンバロです。
チェンバロの場合は弦楽器に近い楽器で、鍵盤を弾くと内部の弦を弾いて音を出す仕組みとなっています。
チェンバロ奏者 曽根麻矢子さんの迎えてのチェンバロの実演は素晴らしかったです。
ちなみに、ゲストの山本彩さんから「なぜチェンバロの鍵盤は黒いのか」という質問がありました。
これに対し清塚さんは次の通り回答。
これは諸説あります。チェンバロを弾く貴族の娘さんの白い肌を際立たせるためという説や、当時黒炭が豊富に取れたからという説など、色々な説があるんです。
しかしチェンバロにも弱点はあり、それは仕組みとして弦を震わせているだけなので、音の持続性が少ないという点。
フォルテピアノ
古くからある鍵盤楽器の弱点である「機動力」「音の持続性」…この二つの点を克服した楽器が”フォルテピアノ”です。
フォルテピアノは、ほぼ現在のピアノの同じ形態であり、そして内部構造も弦をハンマーで叩く今のピアノと同じです。
しかしフォルテピアノにも弱点がありました。それは楽器の素材です。
内部の弦を引っ張るためには20t(トン)の力が必要といわれていますが、フォルテピアノの素材である木材はそれに耐えられず、力強い演奏をしたりすると割とすぐに壊れてしまうのです。
ピアノ(グランドピアノ)
しかしそれも時代が救います。産業革命を迎え、鉄の導入が始まると、部品に鉄を使用することが可能となり、どんなにハードにプレイしても壊れることはなくなりました。これが現在のピアノにつながるという流れです。
ピアノのスーパープレイ
ここまで楽器としての素晴らしさを存分に語ってきたわけですが、素晴らしい楽器を生かすためには、弾く側のテクニックも重要。
ということで、ここからはピアノにおけるスーパープレイとして3つの演奏技術を、清塚さんの実演により紹介されました。それはこちらの3点です。
- 高速連打
- アルペジオ
- グリッサンド
番組の動画でご紹介できないので残念ですが、内容だけでも。
①高速連打
ある1つの鍵盤を連打したい場合、指一本で連打するのは限界があります。それは指の構造上持続出来ないのと、安定性に欠ける(スピードのバラつき、隣の鍵盤を叩いてしまう等)からです。
この場合、ピアニストは親指、人差し指、中指の3本の指を交互に交代させて、1つの鍵盤を連続で叩くのです。
実際清塚さんの連打は超高速&超安定でした。
ロックやポップスのキーボーディストにはなかなか備わっていないスキルかもしれませんが、これが出来ると色々応用ができると思います。
②アルペジオ
アルペジオとは、”分散和音”のことで、和音の構成音を同時に弾くのではなく、1音ずつ、ずらして弾く奏法です。
清塚さんが今回紹介したものは、あるコード(今回はC)のアルペジオを弾いて、オクターブ上で同じコード、更に上のオクターブ…というふうにオクターブで駆け上がっていくアルペジオ、最高音付近に到達すると、今度は逆に降りてくる。
これをスピーディーで弾くととても、カッコイイし、非常にテクニカルに聴こえるのです。
アルペジオの解説はこちら、ずっしーさんの動画が分かりやすいです。
③グリッサンド
グリッサンド(略称:グリス)は、指や手の平、爪などを使って、鍵盤をなぞるように音を出す奏法です。
曲のサビ前やサビ終わり、盛り上げ部分で、グワァ~~~っとかますと、とても効果的です。
この奏法は指が痛いことでも知られています。
普通の白鍵でシンプルに行うグリスはまだいいですが、コードを弾く形のまま行うグリスは指への痛みが結構大きいです。
ただ、清塚さん曰く、ライブ中のグリスはそれほど痛みは感じない。それはアドレナリンがぶわ~っと出ているから。その代わり、歯止めがきかないので、後で見ると血が出ていた…なんてことがよくあるようです。
羽生結弦選手のアイスショーで清塚さんが「春よ来い」を演奏した際の、終了間際のグリス3連続が圧巻のプレイということで番組で紹介されていました。
それがこちらの動画です。グリスは動画の3:00から始まる部分です。
羽生結弦 Yuzuru Hanyu x 清塚信也 「春よ、来い」 Fantasy on Ice 2018 静岡
まとめ
関ジャムでも多く取り上げられているピアノ回のうち、今回は王道の内容であったと思います。シンプルにピアノのすごさや、奥深さが伝わりました。
それもこれも、清塚さんのプレイが素晴らしいのはもちろん、説明の上手さが大きいと思います。
そして、説明や解説のうまさでは引けをとらない、NAOTOさんが上手く引き立て役を買って出てくれているところも、さすがといった感じでしたね。
今回も音楽好きにはたまらない内容であったと思います。
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