今回は1970年代に様式美ハードロックを確立したイギリスのハードロックバンド RAINBOW(レインボー)の名曲を10曲選んでご紹介したいと思います!
RAINBOWが他の同時期のバンドと大きくことなる点の一つとして「メンバーにキーボーディストがいる」ということです。これが様式美といわれる独特の世界観につながっている面もあると思います。
せっかくこのブログでご紹介するのですから、選曲の視点としてキーボードアレンジにも注目して選んでいきたいと思います!
- ハードロックに興味があるけど、何から聴いていいか迷っている人
- キーボードアレンジの幅を広げていきたい人
- ディープパープルの曲を聴いたことがあって、リッチーブラックモアが好きな人
目次
RAINBOWの基礎知識
1960年代末に結成されたDeep purple(ディープパープル)は、Led Zeppelin(レッド・ツェッペリン)と並んで、ハードロックの代表格として日本で人気がありました。
(Deep purpleといえば「スモーク・オン・ザ・ウォーター」や「ハイウェイスター」といった曲を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?)
Deep purpleは、ギタリストにリッチー・ブラックモア、キーボーディストにジョン・ロードなどを擁し、当時としては非常に攻撃的で緊張感のある演奏をしていました。
メンバー各自のスキルが非常に高く、音楽的なぶつかり合いが、よい意味での緊張感につながっていたのです。しかし、それがよい方向に転がっていくうちがよかったのですが、やがて人間関係の衝突につながってくことになります。バンドの常ではありますね。
結果、幾多のトラブルを経てDeep purpleを脱退したリッチーを中心として結成したのがRAINBOW(レインボー)という訳です。
RAINBOWは当初リッチーのワンマンバンドかと思われましたが、セカンドアルバム「RISING」から参加したコージーパウエル(ドラム)の加入により、リッチーブラックモア、ロニージェイムス・ディオ(Vo)、コージー・パウエル(Dr)のいわゆる「三頭政治」を迎えます。
三頭政治とは三者が対等に渡りあっているというイメージを表したもので、実際、この三人のバランスのうえに成り立つ音楽はすごいものがありました(もっとも、バンドのイニシアチブはリッチーが握ってますけどね)
クラシカルな要素を備えた独特な世界観と、リッチーのギターが織り成すテクニカルなプレイは「様式美」とうたわれ、セカンドアルバム以降評価を受けることとなります。
その後、アメリカ進出のため外部のソングライターを迎えたり(ラジオにかかりやすい曲を…ってことで)、幾多のメンバーチェンジも行われます。ヴォーカリストではグラハムボネット、ジョー・リンターナーと次々と替わることになります。
ただ、どの時代であっても、RAINBOWらしさは失われず、ファン同士で集まるとどの時代が好きか…という話になるのは定番ですね。
RAINBOWの名曲10選
Tarot Woman
名盤と名高いRAINBOWのセカンドアルバム「RIGING」の一曲名を飾る曲。
冒頭からミニムーグ(アナログシンセ)による怪しさと煌びやかさが同居するシンセソロから始まります。
本作のキーボーディストはトニー・カレイですが、見事なアナログシンセさばきを見せてくれます。フレーズの印象度も高いですが、そのフレーズに対してフィルターとポルタメントを巧みに操った音色変化はシンセのお手本のよう。(ただし一説にはこの曲のキーボードはトニー・カレイではなく、スタジオミュージシャンが弾いた…という説もあります。)
冒頭のシンセソロから本編への切り替わりもいいですね。徐々にリズムが入ってくる高揚感!そしてここでもシンセのイントロフレーズが目立つ!
いやーキーボーディストにとっては、とっても美味しい曲ですよね。弾きこなすのは難しいですが(苦笑)
ロニーのヴォーカルの破壊力も半端ない!
A Light In The Black
セカンドアルバム「RISING」のラストを飾るといえばこの曲です。
当時はアナログレコードでしたが、B面にはこの曲と「Stargazer」の二曲が収録され、それぞれ8分を超える大作であり続けて聴くと「圧巻」の一言です。
この曲ではどのパートもすばらしいのですが、特にドラムとギター、そしてキーボードでしょう。
その主な理由はソロあります。まずキーボードソロが丁度1分間、その後ギターとキーボードのユニゾンキメフレーズが25秒、続けてギターソロが1分35秒、最後にもう一回ギターとキーボードのキメフレーズが30秒…ソロだけで実に3分30秒も演奏しているんです!
ところが、中だるみや飽きる…なんていうのは一切なく、ものすごいテンションを保ったまま駆け抜ける…という表現が適切か分かりませんが、それくらい完成されたソロです。
しかし、キーボードソロで1分間って相当ですよ。
そしてタイトル「暗闇に差し込む一筋の光」…このタイトルが好きです。
Gates of Babylon
1978年に発表されたサードアルバム「Long Live Rock ‘n’ Roll」から「Gates of Babylon」をピックアップしました。
このアルバムは主要なメンバーは前作と同じですが、前作の大作志向から一転、コンパクトでポップな曲が増えた印象があります。そんな中、前作の雰囲気をまとった大作がこの「Gates of Babylon」(邦題:バビロンの城門)です!
イントロのシンセソロが曲の世界観にピッタリですし、この曲ではボイスパット系の音色を多用しているので、キーボードパートで荘厳な雰囲気を上手く作っていますね。
そしてギターソロですが、このソロは昔から本当に大好きで、テクニカルとかそういう視点ではなくて、展開の美しさをいつも感じます。構築美といいますか…コード進行も複雑ですし、よくこんなソロを作れたな…と惚れ惚れするのです。
このアルバムをもってロニーは脱退することになるのですが、こういった中世ヨーロッパの雰囲気をまとった曲を歌わせたらロニーの右にでる者はいないですね。
Eyes Of The World
1979年に発表された「Down To Earth」、その2曲名を飾るのがこの「Eyes of the world」です。
本作での大きな変化は、ボーカリストがグラハム・ボネット、そして、キーボードがドン・エイリーにそれぞれ交代していることです。
この変化は非常に大きいです。
まずボーカリストは音楽性にストレートに影響するパートですが、グラハムはロニーとは正反対といっていいと思います。見た目も短髪オールバックに白スーツですからね(苦笑)
でもそれはグラハムは劣っているとかの話ではなく世界観の話ですね。
そして、ドン・エイリー。この人も加入も大きく、それまでのキーボードパートはオルガンやストリングが中心だったものから、デジタルシンセを活用したものに変化していきます。(時代的に機材の進化もありましたが)
「Eyes of world」ではそんなドン・エイリーが大活躍していて、まずイントロ!これは打ち込みパートですが、ドン・エイリーが非常にいい仕事しています!世界観がすごい!
ギターソロも前半のフリーでアドリブっぽいプレイから、スライドギターへ移る展開が痺れます!
Lost In Hollywood
「Down To Earth」のラストを締めくくっているナンバー。
スピードチューンでとてもスカッとする曲です。なにせ始まりからコージーの16分のスネア連打ですから。
スピード感を感じるポイントは他にもあって、曲の全編に渡り8分のシーケンスフレーズが流れているのです。よく聴かないとそこには意識向かないかもですね。
シーケンスといえば、キーボードソロでもクラシカルフレーバーを感じるシーケンスフレーズが流れ、そのうえをブラスによるソロを奏でるという、ちょっと凝ったものになっています。
このアルバムをもってコージーはRAINBOWを脱退します。コージーがRAINBOWにもたらしたものは非常に大きかったですね。
後年、RAINBOWの再結成話が持ち上がったとき、ロニーの条件としてコージーも加わるのであれば…という話がありましたが、その後コージーの事故死によりそれも幻で終わりましたね。(その後、ロニーも病気で亡くなります。)
各自、いろんな経緯を経た2000年代に、もう一度三頭政治でのバンド見たかったです。
I Surrender
ボーカルにジョー・リン・ターナーを迎えて制作された5thアルバム。
このアルバムでは、これまで以上にアメリカ市場を意識した、ポップでコンパクトな楽曲が多くを占めることになります。
また、リッチーのギターソロもテクニックを全面に打ち出したものから、曲を生かすようなソロを弾くようになります。
人によってリッチーに求めるものは色々あると思いますが、個人的にはこういったリッチーも悪くないと思っています。
この「I Surrender」は、とにかく分かりやすいですね。みんなで一緒に歌えるような曲だと思います。シングルカットされた曲でもありますし、何だかんだで外せない曲ですね。
このアルバムをもって、ドン・エイリーは脱退することになりますが、一説には仲の良かったコージー脱退の影響もあったようです。
Spotlight Kid
よくRAINBOWのライブのオープニングナンバーとして演奏されたのがこの「Spotlight Kid」ですね。(初期のオープニングはKill the Kingが多いです。両方ともOver the Rainbowとセットで演奏されます。)
オープニングにピッタリなのはやっぱり、勢いよく元気さがあるからでしょうか。
この曲の魅力もやっぱりギターとキーボードのソロプレイにあると思います。
ギターとキーボードがユニゾンを決めるフレーズはクラシックの「ピアノソナタ第21番ワルトシュタイン」が元ネタになっています。細かいパッセージが続くテクニカルなフレーズです。
RAINBOWの魅力は、こういったクラシカルなキメフレーズがちょいちょい盛り込まれているのもあるなって個人的には思っています。
Fire Dance
この曲は理屈なくカッコいいいので大好きです。
まぁ自分のバンドでも演奏している曲ですが、イントロ、リフ、ソロ前とギターとのユニゾンフレーズがとってもカッコいいんですよ!
キーボードディストには是非おすすめしたい曲ですね。
Street of Dreams
実は私がRAINBOWの曲の中で1、2を争うぐらい大好きな曲です。
曲としては、もしかしたらよくあるミディアムテンポのポップナンバー…という印象があるかもしれませんが、RAINBOWを聴き始めた当初から今でも自分にとっては特別感があるのです。
この曲だけではなく、アルバム「Bent Out of Shape」には名曲がたくさん収録され、緊張感のあるアルバムといった印象があります。まさに捨て曲なし!ってやつです。
メロディアスなハードロックが好きな方から、是非聴いておくべきアルバムの一つだと思います。
RAINBOWはこのアルバムを最後に解散します。リッチーとロジャーは解散後にDeep purple再結成への動くためです。(まぁ再結成話があったのでRAINBOWは解散となったのですが)
Black Masquerade
RAINBOW解散から10年以上の時を経た1995年に突如としてRAINBOW名義で発表されたアルバム「Stranger in Us All」に収録されたキラーチューン。
いやー名曲だわ。
このアルバムは年数も現代に近いせいか、録音状態も非常によかったですね。そして日本では日本レコード協会のゴールド・アルバムに認定されたり、ヘヴィメタル雑誌「Burrn!」でも読者投票で年間ベストアルバムに選ばれるなど、非常に評価が高かったです。
リッチー以外のメンバーは全員替わってしまっていたけど、久々にRAINBOWを味わうことができてとてもうれしかった記憶が残っています。
まとめ
キーボーディスト目線で選ぶRAINBOWの名曲10選でした!
今回はキーボード視点もあったのでこのような選曲になりましたが、また別の視点から選べば違った結果になるかもしれません。
RAINBOWには色んな魅力があります。リッチーのギターや、様式美の世界観、ロニーやコージーのを通して好きな方もいるでしょう。
是非キーボードにも注目して聴いていただければ新しい発見があるかもしれません。
実は2016年から再び再結成してヨーロッパを中心にツアーを行っていましたね。リッチーのギタープレイの方は…という感じすが(苦笑)
元気に活動しているというのは喜ばしいことですね!
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