このようなお悩みについて、解決方法を解説します。
弾けるはずなのに緊張のせいで実力が発揮できない。とてももどかしいて、悔しいことですよね。
何を隠そう、実は僕も緊張するタイプで、本当は弾けるフレーズなのに頭が真っ白になって弾けなくなる症状に悩まされたことがあります。
今回は書籍の情報を参考に、自分の経験も交えてお伝えします。
目次
今回の記事で参考した書籍
今回の記事を執筆するにあたり参考にした書籍はこちらです。
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しかも緊張を回避するだけではなく、そもそも緊張とは敵ではなく味方であると説いている点が特徴的です。最高のパフォーマンスを行うには、むしろ適度な緊張は必要ということで、より”緊張”というものに突っ込んだ内容となっています。
こちらの書籍のデータや緊張の克服方法を引用しながら、解説していきたいと思います。
人はどのような事象に緊張するのか
全国アンケート結果と「緊張する7つケース」
人前で緊張するのは何も自分だけの話ではなく、多くの人が共通してもっている性質です。それを数字で表すアンケート結果がありますので、まずはそれを確認しておきましょう。
◆設問:どんな時に緊張しますか?
(全国の20歳以上の男女1,579人を対象としたアンケート。ハピ件(アサヒグループヒールディングス)
1 | 大勢の前で話す・スピーチするとき | 82.2% |
2 | 初対面の人に会うとき | 36.5% |
3 | 新しい職場や仕事をするとき(人事異動など) | 35.6% |
4 | プレゼンや報告をするとき | 27.8% |
5 | 発表会や演奏会のとき | 26.7% |
6 | 資格取得、入社試験や面接のとき | 26.4% |
7 | 苦手なことを無理にさせられるとき | 20.0% |
8 | 経験のないことをしなければならないとき | 17.7% |
9 | 電話で人と話すとき | 16.4% |
10 | 目上の人と話すとき | 13.3% |
そしてこのアンケート結果を基に、本の中では「緊張するケース」として次の7項目に整理しています。
- プレゼンテーション
- 試験やテスト、面接
- 発表会、演奏会
- 対人場面、1対1や初めての人と会うとき
- 新しい仕事、経験のない仕事をするとき
- 苦手なことを無理にさせられているとき
- スポーツや勝負事
上記7項目は私たちが日常生活で緊張するほとんどの場面が含まれており、この7パターンさえ克服すれば「全ての緊張する場面に対応できる」とされています。
そもそも「緊張」した状態とは

さて、多くの人が様々な場面で緊張することはわかりましたが、そもそも「緊張」した状態とはどのような状態を指すのでしょうか?
本書では緊張がもっともピークに達した上達、つまり「過緊張」時の体の変化として次の7項目をあげています。
- 身体がこわばる
- 手や足が震える
- 冷や汗が出る
- 表情がこわばる
- コントロールが利かない
- 頭が真っ白になる
- 心臓がドキドキする
誰もが何らかの場面で一度は経験している症状だと思います。
自分の経験
バンドである曲を演奏することになった際、オリジナル音源にはないピアノのイントロを付けることになりました。(そのバンドのライブで演奏されているものを参考に作ったフレーズ)
割と難しい運指になってしまい、よく演奏ミスもありました。
そうするとバンドメンバーの前で弾く際も「ああ、ミスしたらどうしよう」と考えるようになり、しまいには弾く直前に弾き方自体思い出せなくなったこともあります。その練習前の自宅練習では問題なく弾けているのにです。
ようするに緊張によって頭が真っ白になる…というやつです。
これを解決しようとすればするほど、より考えすぎてしまうという悪循環にありました。
正直、楽器演奏などに関していえば、日頃の練習をしっかり行っていることが自信となり、緊張とは無縁になれるものだと思います。つまり絶対的な練習量が裏付けとなるからです。
ただ、先ほど述べたように、自宅のリラックスした環境では問題なく弾けるのに人前では弾けなくなる、というケースもあるのは確かです。
このようなケースでは別アプローチでの解消方法も必要でしょう。
緊張の原因
過緊張の際に現れる身体の特徴…どれもできれば避けたい状態ですが、身体に症状が現れるということは身体の中でなんらかの作用があるということです。
つまり、その「なんらかの作用」を把握してコントロールできれば、緊張もコントロールすることができるということです!
端的で分かりやすいですよね。
では緊張のときに身体の中で行っている作用…それは次の3つです。
交感神経が優位になっている | 身体がこわばる |
手や足が震える | |
冷や汗が出る | |
セロトニン(脳内物質)が下がっている | 表情がこわばる |
コントロールが利かない | |
ノルアドレナリン(脳内物質)が高くなっている | 頭が真っ白になる |
心臓がドキドキする |
なにやら聞き慣れない名称も出てきましたが、身体に現れる様々な症状も、元をたどればこの3つの原因に行き着きます。
緊張の克服方法「深呼吸」
さて、ここまでで”緊張”の正体が見えてきました。正体が見えたら、あとは単純にそれをコントロールすればいいだけ。
克服方法を単純化するとこの3つだけなのです。
交感神経が優位 → | 副交感神経を優位にすればいい |
セロトニンが低い→ | セロトニンを高めればいい |
ノルアドレナリンが高い→ | ノルアドレナリンを下げればいい |
さて肝心なのは具体的な方法ですが、上記3つをコントロールする方法はたくさんありますが、本記事では楽器演奏するうえで避けたい「身体のこわばり」や「手足の震え」といった症状の緩和につながる”副交感神経を優位”にするため方法を1つご紹介します。
その方法とは”深呼吸”です。
ただ、実際に緊張局面で深呼吸したことあるけど気休み程度にしかならなかった…という人もいるかもしれません。
そういう方は、正しい深呼吸のやり方を知らなかったといえるでしょう。それだけ深呼吸というものは緊張の緩和に効果絶大なのです。そして”最強のコントロール術”ともいわれています。
「交感神経」と「副交感神経」の役割
まず「交感神経」と「副交感神経」の違いを押さえておきましょう。この2つの神経は共に「自律神経」というもので、自動的に身体の中を制御してくれる神経です。
自律神経 | 交感神経 | 副交感神経 |
昼と夜 | 昼の神経 | 夜の神経 |
活動と休息 | 活動モード | 休息モード |
精神活動 | 緊張 | リラックス |
心拍数 | ↑ | ↓ |
血圧 | ↑ | ↓ |
呼吸数 | ↑ | ↓ |
呼吸の質 | 浅い呼吸 | 深い呼吸 |
体温 | ↑ | ↓ |
筋緊張 | 緊張 | 弛緩 |
上の表をみてもわかるように、交感神経が優位になれば緊張が高まり全身の活動性も高まります。副交感神経が優位になるとリラックスの状態になり、身体は休息モードに入ります。
例えば「電車に遅れそうだ」となって20メートルほど全力疾走した場合、心臓はドキドキし、息もあがり、身体も熱くなりますね。これが交感神経が優位な状態です。
深呼吸が緊張感を和らげる仕組み
副交感神経を優位な状態に持っていければ、とてもリラックスした状態に持っていけるわけです。少なくとも、慌てたり、焦ったりすることを軽減できそうですね。
さて、自律神経が強く影響を与えることができる5つの要素は上の表にも掲載している「血圧」「心拍数」「体温」「呼吸数」「筋緊張」ですが、このうち自分の意志でコントロールできるものが1つだけあります。
そう、それが呼吸なのです。
副交感神経が優位になれば呼吸がゆっくりになりますが、その逆もあって、呼吸をゆっくりにすることで副交感神経を優位にすることができるのです。
ただし、その呼吸(深呼吸)にもやり方があって、正しいやり方でないと効果がありません。
それでは、本記事の本命…正しい深呼吸による緊張解消方法を説明します。
正しい深呼吸のやり方
まず正しい深呼吸の考え方はこうです。
- 全て息を吐き切る
- 細く長く吐く
- 腹式呼吸
- 呼気は吸気の2倍以上の時間で
- 10秒以上かけて吐く
なぜ吐ききることが重要かというと、副交感神経は息を吐いているときに活発になるからです。逆に交感神経は息を吸っているときに活発になります。
分かりやすいのは「過呼吸」です。ハーハーハーと短く浅い呼吸が止まらなくなるのが過呼吸です。パニック状態になることもあります。
よって、とにかく深呼吸のときは、吸うより吐くことに意識を集中させます。
これを踏まえ、具体的なやり方を説明します。
- 5秒で鼻から息を吸う(5秒)
- 10秒かけて口から息を吐く(10秒)
- さらに5秒かけて、肺にある空気を全て吐ききる(5秒)
上記サイクルで20秒、これを3回繰り返すと60秒。つまりちょうど1分間になります。本の中でこれを「1分3回深呼吸」としておすすめしています。
実は深呼吸にも練習が必要
やり方が分かっていても実践できなければ意味がありません。普段浅い呼吸に慣れている人はなおさらです。
おすすめなのは普段から練習しておくことです。
人前で楽器演奏する前に深呼吸を試してみてください。スーッと落ち着きを取り戻せるか試してみるのです。
また楽器演奏だけでなく、日常のイラっとするシチュエーションでもいいです。例えば、満員電車でストレスを感じたとき、上司に怒られて納得できないとき、クレーマーからの電話応対などなど…日常にちょっとしたムカムカポイントはあると思います。
そういった時に正しい深呼吸を試して落ち着けたら、緊張からうまく脱する方法をゲットしたということです。
まとめ
緊張からくるパフォーマンスの低下には、誰しもが大なり小なり悩まされた経験があると思います。
もちろん今回ご紹介した”深呼吸”は、どんな場面でも効果抜群で万能なものではないかもしれません。
そもそも緊張を味方に付けるには、その緊張を感じる対象に対して徹底的に”備える”ことだと思います。例えば楽器演奏に関していえば「日頃から練習をしっかりやる」でしょう。その自信がなによりの裏付けになるからです。
でも、どこまで練習を積んでも不安を感じる…ということもあります。その精神的なほころびから更に焦る。
そんなときに1分間で対応できる緊張解消法を持っている…それだけでも精神的に楽になることでしょう。
最後に著者である樺沢紫苑氏がYouTube上で解説している緊張緩和についてご紹介しておきます。深呼吸の他にも色々解説されていますので併せて参考にしてみてください。
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