コードの勉強シリーズ第7回目です。
今回はコード進行の定番的な手法の一つである「セカンダリードミナント」の使い方について解説したいと思います。
コード進行の中にセカンダリードミナントを取り入れることで、曲の雰囲気に広がりがでますので、是非意識的に使用できるようにしておきましょう!
ダイアトニックコードの復習
セカンダリードミナントを解説する前に、第5回で学習したダイアトニックコードの役割分担について簡単に振り返りたいと思います。
【振り返り】
ダイアトニックコードとは、同じキー(調性)の音だけを使って作られたコードのことで、ダイアトニックコードには、トニック(T)、サブドミナント(SD)、ドミナント(D)という役割があります。
そして、同じキーの音を使っているので、適当にコードをつなげても基本的には不快感を与えるような曲にはなりません。
また、T、SD、Dの進行を意識することで、曲に起伏をつけることができます。
特にD→Tの流れは「ドミナントモーション」といわれ、安定感と終止感のある流れをつくれます。
…といった内容でした。
上記のとおり、基本的にはダイアトニックコードをベースに曲は作られますが、それだけだと平坦な曲になりがちです。安定感はありますが刺激がないといいますか…ちょっと童謡のような雰囲気が漂います。
これを解決する方法の一つとしてキーから外れるコード(ノン・ダイアトニックコード)の使用があります。
ノン・ダイアトニックコードを使用することで、調性感に広がりを与えることができますが、外れる音なら何でもよいわけではなく、そこには一定のルールがあります。それが「セカンダリードミナント」です。
セカンダリードミナントの仕組み
まずセカンダリードミナントの仕組みを簡潔に述べます。
セカンダリードミナントとは、ダイアトニックコードの中に仮のドミナントモーションを作ること
はい、超簡潔に説明すると上記のようになりますが、まだちょっと分かりにくいですよね?
では、具体的に説明します。
まずはCのダイアトニックコードと、それを使用したコード進行例をご覧ください。
コード進行をみると、ダイアトニックコード以外のコードが使用されている箇所がありますね。1小節3拍目の「C7」と、3小節3拍目の「A7」です。
そうです、このノン・ダイアトニックコードを使って進行している部分が「セカンダリードミナント」なんです!
では、それぞれどういう仕組みになっているかみていきましょう。
C7→Fの進行
C7からFへの流れは、Fを仮のトニックと見立てたドミナントモーションを形成しているのです。
「Fを仮のトニック」ということですので、Fメジャーのダイアトニックコードをみてみましょう。
Fに対してC7はドミナントであることが分かります。ドミナントからトニックへの進行ということで、これがドミナントモーションとなります。
よって冒頭のコード進行におけるFは…
Cメジャーダイアトニックのサブドミナントというよりは、一時的にFメジャーのトニックのように聴かせることができるのです。つまり一時的な転調感を与えてくれているともいえます。
A7→Dm7の進行
同様にA7からDm7への流れは、Dm7を仮のトニックと見立てたドミナントモーションを形成しています。
では、Dmをトニックとするダイアトニックコードを確認してみましょう。
そうなんです、マイナーキーのダイアトニックコードでは、ドミナントがV7コードにならないのです。
では、A7→Dm7のドミナントモーションがなぜ形成されているかというと、この場合はDメジャーのダイアトニックコードを使用するからです。
DメジャーダイアトニックでのV7はA7が該当しますので、A7からDm7への進行で、セカンダリードミナントが成立するのです。
ちょっとややこしいですが、覚えておきましょう。
トニックがマイナーコードの場合は、メジャーコードのダイアトニックコードにおけるドミナントを使用する。
違いを聴き比べてみよう
では、次にセカンダリードミナントを使用したパターンと、使用しないパターンを聴き比べてみましょう。
まずは、ダイアトニックコードのみのパターンです。
冒頭のコード進行に対し、C7をCM7に、A7をAm7に変更しています。
次にセカンダリードミナントを使用したパターンです。
こちらの方が、曲の変化が大きくなっていることがお分かりいただけると思います。
まとめ
今回はコード進行の定番的手法の一つである、セカンダリードミナントの仕組みについてお届けいたしました。
うまく使うことで曲の雰囲気をちょっと変えることができるので、意識的に使っていけるようまずは理解していきましょう。
ただし、一曲の中で使いすぎると効果が半減しますので、ここぞ!という部分で使ってみるのがよいと思います。
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