前回の社会人向けバンドスタートガイドは、バンド加入方法、初コンタクト、顔合わせなどのバンド結成の流れをご紹介しました。
その記事の中で、バンドを組むにあたって演奏面のレベルはどのくらいあればいいかという項目がありました。今回はそのあたりをもう少し掘り下げてみたいと思います。
よく聞く話ですが、バンドをやりたいけど「もうちょっと弾けるようになってから」とか「もうちょっと経験を積んでから」といって、行動するまで時間がかかる方がいらっしゃいます。
確かにある程度弾ける必要がありますし、準備も必要ですね。ただ必要以上にこだわるがゆえにいつまでたっても…というのは勿体ない話だと思います。バンドに入れば成長のスピードも速いですし、こういったものは、勢いというのも大事ですからね!
とはいえ「じゃあどのくらいの演奏技術、知識があればバンドが楽しめるの?」と単純な疑問をお持ちの方もいらっしゃると思いますので、今回は一つの判断基準をご提示したいと思います。
決してハードルは高くありませんので、どんどんバンドにチャレンジしていきましょう!
目次
バンドに参加する上での楽器演奏レベル等【前提条件】
ここではバンドに参加するのが初めての方に向けて、どの程度楽器が弾けるようになっていればよいかの基準をキーボーディストを例にご説明します。
コピーバンド、オリジナル曲を演奏するバンドで、若干求められる部分が異なりますので、2パターンに分けて説明です。
・バンドメンバー募集に「初心者OK」等の要件がある場合
・ジャンルは一般的な歌ものロック/ポップスバンドの場合
コピーバンドの場合
コピーバンドと一口にいっても様々な活動形態があると思います。例えば次のような感じです。
コピーバンドの活動形態
①1点集中型 | ある特定のバンドをカバーするケースです。この場合曲はもちろん、衣装や佇まい、ステージ上の動きに至るまでこだわるバンドも少なくありません。(バンド名もオリジナルをちょっとひねったものが多い) 演奏も極力オリジナルに近づける傾向が高いため、演奏技術も求められる傾向にあります。 |
②ジャンル特化型 | 一つのバンドにこだわるわけではないですが、ポップスやハードロック、フュージョンといったように特定のジャンルに特化してコピー曲を演奏するけケースです。 ①と③の中間みたいな位置づけです。 |
③雑多になんでも型 | 特に趣味として楽しく~といった活動の仕方をしているバンドに多いです。メンバーが好きな曲を持ち寄ってといったところでしょうか。 初心者の方も比較的無理なく活動できると思います。 最初はこういった形から、徐々にジャンル特化型等へ移行していくケースも多いでしょう。 |
正直に言ってしまいますと、どれだから活動しやすいという絶対的な優越は無いと思います。①の場合でもそのバンドがめちゃめちゃ好きで、曲もほとんど知っている場合はやりやすかったりするでしょうし、③が初心者向けかといえば、逆に色んなタイプの曲をやる場合はプレイに幅が求められたりします。
楽譜の読み書き
コピーバンドの場合は、バンドスコアがあればそれを元にコピーすることが多く、特にキーボーディストの場合は五線譜を読むことになります。(音源を聴いて耳でコピー(耳コピ)する人(場合)もありますが、細かいところまでコピーするのは難易度が高いです。)
クラシックピアノのレッスン等を経験していれば普通に読めると思いますが、経験がなくてもゆっくりであれば読むことは可能です。それこそ、『ここが「ド」だからここは「ソ」ね』…みたいに数えていけば分かりますから。(ロック/ポップス等のバンドであれば譜面を見ながら演奏することは少なく、最終的には暗譜しちゃいますから、最初はゆっくり数えてでも音が把握できればイイ訳です。これを続けていれば、読むのも早くなっていきます。)
また譜面にはコードも記載されていますが、曲をコピーするうえでこれも必須ではありません。ただ覚えていれば効率よくコピーできます。
- 五線譜:基本的には読めるようにしておく必要がある。
ただし読むのに時間はかかってもOK - コード:必ずしも読める必要はない。
ただし、読めればコピーが劇的にスピードアップする
演奏レベル
ロック/ポップスアレンジではソロピアノのように必ずしも両手で弾く必要はありません。
何故ならば低音部はベースが担当しているからです。
よく使われるキーボードでのバッキングアレンジは、ストリングスやオルガンの音色を使って片手で白玉コード(音を伸ばす)を弾く、ピアノ音色を使って白玉やリズミックなリフを弾くなどです。
また片手であれば、ソロのフレーズなども比較的容易に弾けるはずです。
そういった意味では、ピアノを習得するよりはハードルは低いといえます。
ただし、違う音色を同時に弾く場合や、それこそ歌とピアノだけでのパートなどは両手になります。
違う音色が同時に必要な場合は、より印象的なフレーズ、重要度が高い方を選択して弾くという形でも十分曲は成立しますし、ピアノ一本での伴奏は、自分で出来そうか、曲の選択段階でメンバーとも相談しましょう。
と、ポイントを書いてきましたが、もともと好きなバンドの曲をコピーする場合は、なにより気持ちがノッていて「弾きたい!」となっているはずですので、めっちゃ練習して大抵の曲は弾けるようになるはずです。
- 歌ものバンドにおけるキーボードバッキングは、7割程度(体感)は片手で弾けるフレーズが中心でありため、ハードルが低い
- ピアノの伴奏が必要な曲は、自分のレベルに応じて曲選択時にメンバーと相談すればOK
- 結局のところ好きなバンドの曲であれば、自発的に練習し、たいてい弾けるようになる
機材の準備・操作
コピーバンドの場合は音色についても、コピーする曲に近づける必要があります。
その為にはシンセを所有して、ある程度の音作り、設定を行う必要があります。
音作り
最初はとにかくプリセット(最初から入っている音)の中に似ている音色があるはずですからそれを選んで使いましょう。最初はこれで十分です。
シンセの操作に慣れてくれば、エフェクターでリバーブ(エコー)を掛けたり、音の立ち上がりや終わりの音量を調整したり、音質(音の高域、中域、低域)を調整したりと、よりこだわって音色を作れるようになります。
設定
ここでいう設定とは、曲に登場する音色を並べてすぐ呼び出せるようにすることです。
これはすごく重要で、曲の途中で素早く確実に切り替える必要があります。
冒頭でシンセを所有といったのは、この音色選択や設定をあらかじめ行なっておくためです。スタジオのレンタル機材でも練習はできますが、コピー曲用の音色や設定を都度行う必要がありますから大変です。(自分が持っている機種と同じならSDカード等で設定を読み込むことはできますが、それも運搬が不要というだけで所有している前提ですからね。)
- コピー曲用の音色や並べ替えを行なっておく必要があるため、自分のシンセを持っておくことが前提
- 音色づくりは非常に奥深いが、最初のうちはプリセット音から似た音を選んで使うだけでOK!
オリジナルバンドの場合
オリジナルの場合は、目指すべき完成形というものが示されていないことが多いので(作曲者がある程度アレンジも仕上げている場合もありますが)、演奏テクニック的には自分の出来る範囲でアレンジを考えればよく、そういった意味ではコピーバンドより難易度は低いといえます。
ただし、いつまでも「自分の出来る範囲で」だと、発展性がなくマンネリ化に陥るため、「曲を生かすアレンジを自分で考える」といったコピーバンドにはないスキルが求められます。
そのほか、自分が曲を作るにしても、メンバーの誰かが作るにしても、コードの知識はある程度必要です。そういった理論的な面を押さえていないと、対応出来ない場面が出てきます。
楽譜の読み書き
アマチュアで活動するロックバンド等(ポピュラー音楽全般)では、オリジナル曲を五線譜で渡されることは少ないと思います。また、自分が考えたアレンジを五線譜に書き残しておく必要もありません。(必要なら録音しておく等で対応可)
そういった意味では必ずしも五線譜は読めなくてもOKです。
ただし、ある程度のコードはすぐ弾けるようにしておく必要があります。
何故ならば、他メンバーが作った曲を渡される場合、多くはコード進行のみが示されている場合が多いからです。またアレンジを詰めていく段階で、コードの変更などに発生するため、柔軟に対応していく必要もあります。
- 五線譜:基本的には読む場面や必要性は低い
ただし、譜面を掛ければアレンジを人に伝えるうえで効率的 - コード:基本的なコードは読んで弾けるようにしておく必要がある
演奏レベル
先ほど触れたように、「自分の出来る範囲」でのアレンジが基本になると思いますので、そのアレンジの良しあしは別として曲としては対応できるはずです。
あとは、普段の練習でテクニックやセンスを伸ばしていければ問題ないと思われます。
(これが無いと先ほど述べたように、発展性のないマンネリ化となります。)
オリジナル曲であるため、テクニック的には自分の出来る範囲でやればOK
ただし、そればかりだとマンネリ化するので、常に練習やセンスを磨く努力が必要
機材の準備・操作
基本的にはコピーバンドと同様に、シンセを所有していることが望ましいです。
コピーバンドの場合と同様、最初はプリセット音からイメージに合う音色を選択して使用するので十分ですが、キーボードアレンジでは、どの音色を使用するかによって曲の雰囲気が大きく変わります。逆にいうと、キーボードにはそれだけの影響力もあるのです!
そういった意味でも、音色の作り方を学んで発展していこうという意識は必要です。
- コピー曲用の音色や並べ替えを行なっておく必要があるため、自分のシンセを持っておくことが前提
- 音色づくりは非常に奥深いが、最初のうちはプリセット音から似た音を選んで使うだけでOK!
まとめ
社会人向けのバンドスタートガイドとして、今回はキーボーディストがバンドに参加するために整えておくべき事項をご紹介しました。
バンド活動には様々なケースがありますので、今回の内容は一つの目安としてとらえていただければ幸いです。
準備を整えておくことで、ある程度自信を持って入っていくことができます。これは自分の意識の話としてとても大切です。ただ「いつまで準備してるんだ~」といわれることがないよう(誰に?)、最後はタイミングと勢いですので、是非バンドを楽しんでみてほしいです!
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