今回は僕がキーボードを始めたきっかけであり、最も好きなピアニストである和泉宏隆さんの名曲の数々をご紹介します。
本当は心行くままにご紹介したいのですが、なにせ名曲の数が多すぎます!!まさに名曲の交通渋滞が起きています…いや渋滞は起きていない、ちゃんと心の中で整理できてます!…すみません少々取り乱し気味でして…(^^;
ということで、今回はかつて在籍したバンドである、T-SQUARE時代に作曲した10曲に限定してお送りしたいと思います。
とにかく素晴らしいメロディを良質な演奏で堪能したい…という方にはベストマッチすると思いますので、この機会に和泉宏隆のメロディに触れてみてください。
目次
T-SQUAREにおける「和泉宏隆」とは
みなさま、「T-SQUARE」という日本のフュージョンバンドをご存知でしょうか。まさに日本フュージョン界のパイオニアであり、今もなお日本を代表するバンドの一つです。
一般的にはフュージョンバンドとして認知されていることが多いですが、ご当人方は「ポップ・インストゥメンタル・バンド」と名乗っています。
その名のとおり、歌のない楽器だけの音楽(インストゥメンタル)ですが、ジャズテイストあり、ポップあり、ロックありと、あらゆる音楽ジャンルを内包し、かつ心の琴線に染み込む圧倒的なメロディの魅力を持つバンドです。
このT-SQUAREで長くキーボーディストとして活躍されたのが和泉宏隆さんです。
和泉さんの書く曲は、ファンにとても人気があり、特に在籍していた当時に出されたほとんどのアルバムのラストに「和泉バラード」(和泉さんが書くバラード曲を畏敬の念を込めこう呼ばれることがあります)が配されていることが多く、その珠玉の名曲に僕は今でも心をわし掴みされています。
T-SQUAREはほとんどのメンバーが作曲に関わりますが、特に曲の多さや良さという意味でソングライターの中心はリーダーでギタリストの安藤正容でしょう。
ただ、和泉さんは安藤さんとはまた違った意味でソングライターの中心であり、先ほども述べましたがバラードを書かせたらT-SQAUREイチだと思います。
今回はそんな和泉さんの珠玉の名曲から、厳選に厳選を重ね10曲選ばせていただきました!結果的には「THE SQAURE」名義のアルバムからがほとんどになりました。
ちなみに「THE SQUARE」は「T-SQUARE」に改名する前の名称ですが、いわゆる黄金期のメンバー(伊東たけし、安藤正容、和泉宏隆、須藤満、則竹裕之)による編成が長く続いた時代であり、僕もとても思い入れのあるメンバーの時代です。
TーSQUARE時代の名曲10選
TAKARAJIMA
11枚目のアルバム「S・P・O・R・T・S」(1986年)に収録された、アップテンポで明るいナンバー。
リリコン(※)の優しい音色によるメロディと、跳ねた感じのリズムが非常に心地よく、どこか南の島を連想させます。
(※)管楽器のように口で吹いて演奏するウインドシンセサイザー。
加えて、中間部の流れるようなピアノソロは、まさに構築された美しさ!この展開の仕方はもう完璧というほかありません。
この曲は、真島俊夫氏による吹奏楽アレンジも人気がありますね。一般的にはむしろ「吹奏楽として人気のある宝島」の方が有名かもしれません。
しかしやはり、個人的にはこのオリジナルバージョンに勝るものはないと思いますので、吹奏楽で知った方には特に聴いてほしいと思います。
オリジナルに勝るものはない…と言い切りましたが、たまに違うバージョンも聴いてみたくなるんです…次の記事では様々な宝島を紹介していますので是非チェックしてみてください!
OMENS OF LOVE
10枚目のアルバム「R・E・S・O・R・T」(1985年)に収録された、ストレートな8ビートのポップナンバー。
まずシンセブラスによるイントロがとても素敵で、何かの始まりを期待させるワクワク感がありますね。
Aメロに入ってからはもう疾走感!という感じで、リリコンの爽やかなメロディと、チャーチャッチャッチャーーっていうキメがとっても気持ちイイ!
そして、サビに入るとみんなでジャンプするのが定番になっています。T-SQAUREではそんなにそういう曲ないと思いますから、お客さんと一体感を感じれるこういう曲は貴重ですね。
あとなんといっても、ギターソロがカッコイイ!フルピッキングによる速弾きやタッピングも織り交ぜながら当時としては、かなりテクニカルなソロだと思います。でもテクニックを見せびらかすだけではなく、ちゃんと展開があるのがいいですね。
この曲も宝島同様、真島俊夫氏による吹奏楽アレンジが人気あります。
ENRAI
9枚目のアルバム「Stars and the Moon」(1984年)に収録された、バラードナンバー。
アルバムの収録曲名としては「ENRAI」ですが、漢字で書くと「遠雷」です。
遠くで鳴る雷…夏の季語でもあるこの言葉からも連想できるように、個人的には遠い夏の日の思い出を思い起こさせてくれるような、そんな曲です。
エレピとストリングの絡み合うシンプルながらも重厚なハーモニーをバックに、泣きのサックスがなんとも映えます。やっぱり伊東さんのサックスはバラードに合うなぁ…。
あと、この曲が収録されているアルバムのジャケットもいいですよね。夜空の大きな月に向かって子どものブランコ…。いいなぁ。
Twilight In Upper West
12枚目のアルバム「TRUTH」(1987年)に収録されたバラードナンバー。このアルバムには、あのF1のテーマ曲としても有名なTRUTHが収録されており、そのアルバムのラストナンバーを務める珠玉のバラードです。
当時のインタビューで、どういうイメージでサックスを吹いているかを問われた伊東さんは「雑踏、喧噪、安堵感。それらの言葉に象徴される都会の孤独とやさしさの交錯したイメージ」と語っています。
うーん、とってもよく分かる言葉です。確かに都会的な夕暮れのイメージの中に安堵感があるんですよねぇ。
そしてピアノソロですよ…流れるような美しいピアノの旋律はまさにピアノが「歌っている」。当時ハードロック野郎だった僕ですが、この曲のピアノソロに出会ってキーボードを始めることになった、そんな意味でも思いで深い曲です。
Catcher in the Rye
13枚目のアルバム「YES,NO.」(1988年)に収録されたミディアムバラードナンバー。
有名な小説「ライ麦畑でつかまえて」と同じタイトルの同曲は、小説との関連は明言されていませんが、最近のライブでも和泉さん自ら『「ライ麦畑でつかまえて」でした~』と曲紹介されていますので、関連する部分があるものと思います。
そういう風に聴くと、青春の甘酸っぱい感じというか、そんな感覚を覚えるので音楽は不思議です。
そう思えるのも、曲の根幹がやはり美しいメロディだからでしょうね。
この曲は和泉さん作曲ですが、中間部はピアノソロではなくギターソロです。このソロがまたイイ!曲のもつ雰囲気をさらに押し上げることに一役買っています。
かなり好きな一曲です!
Dandelion Hill
17枚目のアルバム「IMPRESSIVE」(1992年)に収録されたミディアムポップナンバー。
Aメロはポップ感のあるピアノのメインフレーズから始まりますが、Aメロ2回目はフルートで同じメロディを、そしてサビはサックスの力強いフレーズ。
といった感じでメインメロディを奏でる楽器が次々変わるので、曲の展開もバラエティに富んでいて飽きさせません。
そしてソロはフルートとピアノの掛け合い…いやーこの展開好きだわぁ。
まさに、和泉さんの持つポップ感が最大限発揮された、最高の一曲だと思います!
TERRA DI VERDE
21枚目のアルバム「B.C. A.D.(Before Christ&Anno Domini)」(1996年)に収録されたピアノのみのインストナンバー。
ピアノ一本で完結する曲はT-SQAUREの曲では初めてですが、「この曲を経験したことでピアノ一本でやっていく自信がついた」という旨の発言を、あるインタビュー記事で見かけた記憶があります。
この時期はかなりピアノに傾倒しており、実際に翌年にT-SQAUREを脱退しています。
その後の和泉さんはピアニストとしてご活躍されていますが、そういう意味でもこの曲はピアニスト和泉宏隆の出発点のようなものだと、勝手に解釈しております。
曲の方は一聴していただければ、その素晴らしさを感じていただけると思います。
素朴な音使いの中に、なにかホッと安心する心地よいメロディ…何度聴いても飽きることがありません。
SWEET SORROW
19枚目のアルバム「夏の惑星」(1994年)に収録されたバラードナンバー。
このアルバムはジャケットからして夏!!って感じですが、曲の方も全曲を通じて夏っぽい雰囲気を持った曲で構成されています。
そのラストナンバーが本曲「SWEET SORROW」ですが、直訳すると甘い悲しみ…うーん深いですね。
Aメロはサックスとピアノのみでしっとり聴かせつつ、徐々にリズム隊が入ってきて盛り上がっていきます。
そして、サビで一気に盛り上がりますが、なんて情熱的でドラマティックなサックス…本田さんのこの泣きがたまらないんですよ!
自分は自然と過去の思い出が頭に浮かび上がってくるんですが…浸っちゃいますねぇ。
Travelers
8枚目のアルバム「ADVENTURES」(1984年)に収録されたミディアムロックナンバー。
和泉さん作の曲の中ではギターが主旋律を務めるこういった曲は珍しいかもしれませんね。
Aメロはギター、サビでリリコンが美メロを唄いあげます。そして、サビ後のメロディはテーマフレーズというよりは、半分アドリブチックな展開で、こういう自由な雰囲気の曲もいいですね。
この曲での和泉さんはサポート役に徹して決して目立ちませんが、サビのバッキングワークは注目ですよ。
この時代特有のシンセ音色によるチャッチャーーーチャーチャッチャのリズムがとても気持ちいいよく、思わず一緒に弾きたくなります(笑)
和泉さんの色んな違った一面が味わえる佳曲といえる一曲だと思います。
True Love
29枚目のアルバム「Spirits」(2003年)に収録されたバラードナンバー。このアルバムは、デビュー25周年を記念して、「TRUTH」のメンバー、いわゆる黄金期のメンバーを集めて制作されました。
この「True Love」は特に奇をてらった部分も、すごい特色があるわけでもありません。
ただただ、いつもの「和泉節」が味わえる、そんな良質なバラードソングという僕が一番求めている音楽がここにあります。
一言「間違いない味」です。
まとめ
今回は和泉宏隆さんが作曲された名曲を、T-SQUARE時代に絞って10曲紹介させていただきました!
自分にとってはどれも思いで深く、一生聴き続けていきたい曲たちです。
この音楽の消費の激しい時代に、こうやって長く楽しめる音楽に出会えている自分は幸せですし、是非多くの皆さんにもこの魅力が伝わったらいいなぁ~と思います。
そして、少しでも和泉宏隆の音楽が気になる方は、T-SQAUREを退団されてからの音楽もきっと気に入るはずです。
こちらの記事でさらなる名曲をご紹介しています。
Amazonが提供する”Amazon Music Unlimited”は、
6500万曲が聴ける音楽サブスクリプションの中でもトップクラス!
今なら30日無料で聴き放題です。是非この機会に!